機動戦艦ナデシコ    〜忘却の白銀色の戦士〜
 

                               僕が初めて嘘をついたのは何時だろう・・・・
                   
                          あんなに嫌っていた嘘をつくようになったのは何時だろう・・・

                               でも嘘をつこうと思っても嘘をつけない

                           だから今度こそ・・・嘘つきに為らないと・・・いけないんだ


                                それを僕が例え望んでなくても・・・・・




                      
                                
                      
第8章  冷たき夢と始まりの故郷






ユーチャリス



「やはり・・・無理だったね」

クシナダからボソンジャンプして火星に向かうはずだったがルートが強制的に変更されて、現在ユーチャリスはターミナルコロニータケルにジャンプしていた

「・・・・どうして、ちゃんと進路は」

「ヒサゴプランが敵の手にあるんだから、当然だよ。それにユーチャリスもルート変更のせいもあるけどアマテラス付近で受けた損傷のせいで、かなり損傷もしている。これでは無理に単独ジャンプも出来そうにないね」

「・・・ごめんなさい。私がカイトの言うこと聞いてれば」

「ラピスちゃん、君のせいじゃない。気にしないでよ。僕の体の事を心配してくれたんだし」

カイトは優しくラピスの頭を撫でる

「さって・・どうするかな。まずはユーチャリスの修理だが、木星にはもうコロニーはないはずだし。困ったね」

カイトはそう言って優しくラピスに微笑む

「いえ、木星にはまだ動かないプラントがあるはず」

「いや、それはもうないよ」

(僕が爆破させてしまったし、残ってるはずがない)

「でも、一応行ってみよう。何かあるはず」

「何もないよ、それに・・・」

(あそこには行きたくない、もう木星を見たくない)

「それに?」

(かと言ってここには何もないし、やはり木星に行くしかないのか・・)

「いや、何でもない。木星にいこうか」

「了解」

ユーチャリスは進路を木星に向けて発進させた。





木星

カイトはユーチャリスから木星を見つめていた。

(僕の生まれた星・・・イツキを殺した星・・・)

「カイト、どうしたの?」

「何でもない」

そうしてカイトとラピスは木星に不時着した。ここでカイトは驚くべき物を見た

木星プラント!!。あの時爆破させたはずだ・・・・。どうして・・」

「カイト、このプラントはたしかに2年前に爆破したけど・・・火星の後継者の手によってまた作られたの」

「・・・・・そうか・・」

カイトは悲しい顔をして木星プラントを見た

「でも火星の後継者はここを拠点に使えなかった。何か問題でもあるのかもしれない」

「・・・・・・」

カイトはラピスの話を聞いてない様な感じで木星プラントに降りた。

「カイト、待って」

ラピスはカイトのあとを追う形で歩き出した

「・・・・・」

「・・・・・・」

「あのカイト?」

「・・・・・・・・」

カイトはまるで何かに取り憑かれた様に一直線に目的の場所に向かう。ラピスは話しかける事をやめてただカイトの後を着いていく

「・・・・ここも・・・作ったのか・・」

カイトが来た場所、それは木星の自分の生まれた場所だった

「ここは何処?」

ラピスがカイトに話しかける

「・・・・僕とイツキの生まれた場所だよ」

「・・・・・生まれた場所」

「僕はこのカプセルの中から生まれた。・・・そしてずっとそのままここで育った」

「カイトも・・・マシンチャイルドだったんだね・・」

「・・・・そういう物じゃないさ・・僕はただの道具として生まれた。勿論、イツキもね」

「イツキ・・・カイトと鎚になる人・・だったよね」

「そうだ」

カイトはカプセルを撫でるとその場にしゃがみ込んだ

どうして・・・どうしてまた作ったんだ?!

「カイト・・・」

「なんで・・また・・・」

ラピスは辺りを見回すと机の上に放置されていた書類を見つけた。ラピスはそれに近寄ると読み始めた

(試作1号と試作2号に続く試作3号。名前、アサミ・カザマ・・・・遺伝子を試作1号と試作2号から摂取。それを元に完成段間まで近づく。しかし火星の後継者の宣戦布告と共に廃止、データを削除する。その後試作1号と2号の捕獲確認の為、完全に試作3号を削除、抹消)

「これって・・・」

「ラピスちゃん」



「それは・・・なんだい?」

「カイト、何でもない。これはただの紙」

(見せちゃいけない。こんなの見せちゃいけない)

ラピスはそう思うと書類を後ろに隠した

「見せて・・・くれないか」

「・・・・ダメ」

見せるんだ!ラピスちゃん

「うっ」

ラピスはカイトに怒鳴られて吃驚した拍子に書類を落とした。カイトはそれを拾うと読み始める。

「・・・・・・・はっはははは・・・何だよ。これは・・・」

カイトは顔に手を当てて涙を流し始める

「試作1号と2号の遺伝子って・・・僕とイツキの子供じゃないか・・・・。なんだよ・・・これ」

「カイト・・・・」

なんなんだよ!!!

カイトは叫びながらその書類を握り潰した。カイトの瞳は暗く、そのカイトから放たれる空気は凍り付くほど冷たいものになっていた

「カイト、・・・大丈夫?」

ラピスは心配そうにカイトを見る

「・・・心配ない・・・ラピスちゃん。すぐに火星に行くぞ」

「えっ」

「早くしろ」

「はい・・」

(許さない。許せるはずがない。憎い。憎悪。それ以外しか頭に浮かばない・・火星の後継者共・・絶対に許さない)

カイトはユーチャリスに戻ると木星プラントに照準を合わせてグラビティブラストを放った

ギィィィィィン

グラビティブラストの光が木星プラントを包み込みしてプラントは跡形もなく消滅した

「カイト、何をするの?」

ラピスが驚きながらカイトに見た

「ここは・・・こんな場所いらない。木星自体がいらないんだ・・」

「カイト、どうしちゃったの?」

「どうもしない。補給は済んでるんだよな?ラピスちゃん」

「うん、・・・大丈夫」

「ならいい。跳ぶぞ」

「待って、カイト。体が」

「五月蠅い・・・それ以上言うな」

「カイト・・・・」

一人ブリッジに残されるラピス、その瞳からは今まで自分で流した事のない涙が流れていた。

(カイト・・・カイトは変えたくなかった。助けたかった。でも・・・無理だったんだね・・・・カイト)

「・・・イツキ・・・アサミだってさ・・・僕らの子供。会いたかったね・・・イツキ・・・」

展望室で一人、宇宙を見上げるカイト、その瞳からは先ほどと同じ涙が流れていた

「絶対に許さない。火星の後継者・・・絶対にな」

カイトは拳を握りしめるとボソンの光を体から発する。それがユーチャリス全体を包み込む

「ジャンプ」

そう呟くとユーチャリスは火星付近の宇宙にジャンプした


「さあ・・・最後の戦いを始めようか・・・火星の後継者共」







ナデシコB



「ジャンプ」

「ルート変更されました」

「おやおや、どうした事でしょう」

プロスは眼鏡を揺らしながらルート変更の文字を見た。

「火星の後継者にヒサゴプランのネットワークシステムを制圧されたんでしょうね」

「困りましたねぇ、これでは火星にジャンプ出来ませんよ。イネスさん」

「いえ、幸いここは火星から近くのターミナルコロニーウズメです。このまま火星に向かいましょう」

ルリが落ち着いた様にそう告げる。

「そう簡単にはいかないみたいだぜ。艦長」

「どうしてですか?。サブロウタさん」

「これ、見てみろ。ハーリー、どういう事分かる」

「うわ・・・」

「どしたんですか?サブロウタさん」

「これだよ。テンカワ」

「あちゃあ〜」

「艦長〜大変だ。無理にルート変更したせいで相転移エンジンに異常に負担がかかちまった。修理が必要だぜ」

「ウリバタケさん。何とか修理出来ないのですか?」

ルリは顔色を変えないで聞いてみるが

「う〜ん。何とかやってみる。それとそれのせいでエステバリスの整備が遅れるから敵さんに見つからないようにお願いしとくぜ」

そう言ってウリバタケは通信を切った。

「これじゃあ、敵に見つかったら大変よねぇ。ルリルリ」

「ミナトさん、敵反応がないかしっかりと確認をお願いします」

「了解。任せない」

「一応、敵の本拠地近くです。何時敵が来るか分かりません。皆さんは艦内警戒態勢パターンBに移行しておいて下さい」

「了解」

「ルリルリ、ちょっーと大変になりそうだわ」

「どしたんですか?ミナトさん」

「敵反応、さっき調べたんだけど・・・囲まれちゃってる。ごめんね〜」

「「「
・・・・・嘘〜〜〜」」」

ハーリーとサブロウタ、アキトまで声を上げて、驚いてしまった。

「艦内警戒態勢パターンBから戦闘態勢Aに移行して下さい。エステバリス隊の皆さんはエステの整備が終わり次第出撃お願いします」

ルリは落ち着きながら指示を出していく。

「ちょ〜〜っと待って、エステの整備と相転移エンジンをいっぺんには直せないぞ。どっちか一つに絞ってくれ」

「両方お願いします」

「なに〜〜〜」

「ウリバタケさんなら出来ますよ。きっと」

ルリは安心して、ウリバタケに伝えた。ウリバタケも驚きながらもまんざらでもない様子で整備を始める準備と指示を出した

「了解。何とかやってみる」

「セイヤさん、エステは?」

アキトが格納庫に走り込んできた。後ろからはリョーコ、ヒカル、イズミ、サブロウタと続く。

「テンカワ。お前の機体はOKだ。後サブロウタ、ヒカルちゃんの機体もOK。リョーコとイズミは待っててくれ」

「ちっ、早くしてくれよ」

「無理言うな。こっちは相転移エンジンも修理してんだ」

アキトは素早く機体に乗り込むとエステを起動させた。

「テンカワ機、出ます」

「ヒカル機も出るよ〜ん」

「サブロウタ機、出る」

カタパルトから発射されて3機のエステがナデシコBを囲む様にして、敵を威圧する

「アキトさん、ヒカルさん、サブロウタさん。ナデシコBは現在修理の為動くことは出来ません。敵殲滅よりナデシコBの護衛を最優先にして下さい」

「「「了解」」」

そうしてアキトはナデシコBに張り付いた様にして敵のエステを攻撃していく。サブロウタとヒカルはアキトのバックアップをする形を取っていた。

「まだ、俺達のエステは出来ねぇのかよ」

「まてまて、もう少し・・・・・よし。出来たらしいぞ」

「待ちくたびれたぜ」

「待ちくたびれ、マッチ下さい・・・くっくっく」

「リョーコ機、出るぜ」

「イズミ機、逝きます」

「了解、カタパルト発射スタンバイOKです」

ハーリーが指示を出すと残りのエステが発射した。

「お、来たね。」

「リョーコちゃん達遅いー」

「うるせー。それだけの働きはするつもりだぜ」

「ナデシコBが動けないことを忘れないでくれよ」

「分かってるよ。アキト」

「そんじゃ、行きますか〜」

エステバリスはリョーコ、ヒカル、イズミとアキト、サブロウタに分かれて、息の合った連携で敵のエステと戦艦を落としていく。

「敵の増援を確認、不味いわねぇ」

「了解。ウリバタケさん。エンジンのどうですか?」

「OK〜だ。だがまだ応急処置にしか過ぎないから無理は禁物だぞ」

「相転移エンジンの出力75%です。グラビティブラスト行けます」

「了解、ハーリー君。でもグラビティブラストは無しでお願いします」

「どうしてですか?艦長」

ハーリーはルリの考えを読んでいないので早く敵を殲滅させようと言う考えしかなくルリの答えを不満に思った

「今、グラビティブラストを撃つと火星に無事に到着できる可能性が少なくなります。相転移エンジンもまだ完全に直ってないんです。無理は出来ません」

「あっ・・了解」

「もうちょっと考えた大人に為らないと減点よ。ハーリー君」

「うぐぐ」

ハーリーは恥ずかしくなり下を向いてしまった

「この〜〜」

アキト機のフィールドランサーが敵戦艦を貫き、敵戦艦を大破させる

「本拠地近くとなるとやっぱ敵さんは多いな」

「全部倒しゃあいいことだよ」

リョーコの言葉にサブロウタは溜息をつく

「はいはい」

「よ〜し。あの戦艦でラストだ〜〜」

ヒカルがレールカノンを構えて放つ。大破する戦艦

「敵全滅確認」

「了解。お疲れさま」

「ほん〜と何か疲れちゃったよ」

「鍛え方がたりねんじゃねぇのか」

色々な言い合いをしながらナデシコBに戻るエステバリス隊。アキトとサブロウタ以外はエステの調整を確認する為に格納庫に残った

「なあ、テンカワ」

「うん?何、サブロウタさん」

ブリッジに戻る途中の廊下でサブロウタとアキトが話し始める

「お前さ。たしか嫁さん居るんだよな?」

「ああ、居るけど」

「その人はどうしたんだよ?」

「別行動。まだ来てないけどそろそろ合流する予定だよ」

「ふ〜ん」

「でもどうしてそんな事聞くのさ?」

「いや、嫁さんと離れて辛くないのかな〜って」

アキトは笑って答えた

「今は何時でも会えるから」

「そんなもんかねぇ」

「はははは」

そうして話しながらブリッジに到着する二人

「お疲れ様です。アキトさん。サブロウタさん」

「お疲れ、艦長」

「お疲れ様。ルリちゃん」

アキトとサブロウタは自分の席に着くとルリの方を向いて話を聞いた

「これからナデシコBは火星に向かいますがエンジンの損傷などて一旦ここで休息を取ります。勿論敵が来た場合はすぐに戦闘に入るのでそれを考慮しての休息です」

「了解」

「でわ、皆さん。お休みです」

ナデシコクルーは安堵の溜息や背伸びなどをして、ブリッジから出ていく。

「ルリちゃん。俺は食堂に居るから良かったら食べに来てね。テンカワスペシャル以外のラーメンなら何時でも作れるから。味覚も大分落ち着いてきたしね」

笑いながらアキトはそう告げるとブリッジから出る

「ホント、テンカワさんの料理は美味しいですから艦長も食べてみるといいですよ。特にラーメンが」

「知ってますよ。ハーリー君」

ルリもいつもの硬い表情を和らげながら食堂に向かった

そうしてナデシコBはしばしの休息を取る







ナデシコB食堂

「やあ、いらっしゃい。何食べる?」

「ラーメンを、醤油ラーメン。お願いします」

「分かった」

アキトは笑顔になるとラーメンを作るために厨房に向かう

「おっ、ルリルリじゃなかった、艦長もご飯か?」

「はい、ウリバタケさんもですか?」

「まあ、そんな所だ。そうだ艦長。これ使ってみないか」

ウリバタケはバーチャルルームにあるヘルメットの取り外し様な形の物を取り出す

「なんですか?。それ」

ルリは少し呆れた様な顔をしてウリバタケに聞いた

「これぞ、名付けてバクバクドリーム。最近は戦闘多くてみんな苛立ってやがる。そこでこれを使ってクルー達のメンタルクニックして艦内の調和しようとって寸法よ」

「却下です」

「どっどうしてよー?」

「そんな下らない物を作っているなら相転移エンジンの修理をして下さい」

「うっ・・うぐぐ」

「はい、お待ちどう」

その間に割って入るようにアキトがルリにラーメンを差し出す

「おい、テンカワ。お前使ってみないか?」

「はい?」

「これだよ。夢を見て録画も出来る。素晴らしい発明だ。最近は戦闘ばっかで疲れてるだろ。どうだ、これ使って癒されてみないか?」

「あっあははは」

「変な物をアキトさんに勧めないで下さい」

「でも面白そうと言えば面白そうですね・・」

「だろ。だろ〜。さすがテンカワ。分かってくれると思ってたよ」

「はははは」

しまったと言う顔をしながらアキトは笑っていた

「じゃあ、さっそく使ってみろ。ほれ」

「あっちょっとまだ心の準備が」

「そんなもんしなくてもいいんだよ」

ウリバタケに無理矢理ヘルメットを被せられるアキト、その途端にアキトは寝息を立てながら寝てしまった

「すぐに寝る様に為っているんですか?」

「いや、頭を被せたら睡眠ガスが出るって仕掛けよ」

(・・・危険ですね。廃止処分しないと)

「さってとテンカワはどんな夢を見てるのかっと」

手元の小さいウィンドウを開いてウリバタケ、後ろの方でルリがのぞき込んでいた




「ア〜キト」

「何だよ。まだ朝早いぞ」

「何って今日は結婚式だよ。早く起きてよ」

「まだ4時じゃないか。どうしてこんな日にしか早起き出来ないんだよ」

「えっへへ」

(まったくしょうがないな)

そうして布団から出るアキト。その瞬間に辺りは教会になりウェディングドレスを着たユリカがアキトを見つめている

「ねぇ・・アキト、アキトは私が好きだよね」

「ああ、大好きだよ」

「よかった。私もアキトが大好き」

そうして二人は唇を合わせる。長い長いキス

「えへへ」

アキトは下を向いて照れてしまっていた。

「アキト、ブーケ投げるよ」

「ああ、早く投げろよ」

「ルリちゃ〜〜ん」

パサ

ルリの手元にブーケが投げられる

「今度はルリちゃんだよ」

「・・・」

ユリカとアキトはルリを見ながら優しく微笑んでいた





ナデシコB食堂



「えっと、つまりだ。これはあの時だな」

「結婚式ですね」

「うむ、って艦長。見てたのかよ」

「はい、気になりましたから」

「よっと」

ウリバタケはヘルメットをアキトの頭から取る

「あれ・・、俺は」

「しっかりイイ夢しっかり見てるよな〜」

「ちょ、あれを見たんですか?」

「ああ、バッチリとな」

アキトは夢と同じように照れて頬を掻いていた

「さってと、次は艦長だ」

「私は遠慮します」

「俺の夢覗いたのに?」

「それはそれ。これはこれです」

アキトは一瞬ニヤっとするとルリにヘルメットを被せた。

「ちょ、アキトさん・・・」

ルリは何か言いたげだったがすぐに眠ってしまった。

「セイヤさん。後は一緒に見ましょうか」

「おい、いいのかい。また後で何か言われるぞ」

「その時はその時ですよ」

アキトは笑顔でそう言った

「まあ、別にテンカワがそう言うならいいが、フォローはしないからな」

「大丈夫です」

そうして二人はルリの夢をウィンドウで見始めた。



「ルリちゃん。そろそろ式に行かないと」

「ああ、そうでしたね。今日はユリカさんとアキトさんの結婚式でしたね」

「ルリちゃん、寝ぼけないの。今日は僕らの結婚式だよ」

「えっ・・」

ルリは一瞬耳を疑った

「ルリちゃん。ほら、いくよ」

そうして手を握るカイト。その手からは優しさがルリに染み渡るようだった

「カイトさん・・・」

式場に着いたルリはウェディングドレスを身に纏い、結婚式用タキシード着たカイトを見つめていた

「カイトさん・・・」

「ルリちゃん」

そうして二人は手を繋いでみんなの居る式場の扉を開ける。しかしその中は暗く闇が広がっていた

「これは・・・」

そしてその中心に白い復讐者の服を着たカイトがその中心に立っていた。

「カイトさん?」

後ろを振り返ってもさっきまでタキシードを着たカイトの姿はなかった

「・・・・ルリちゃん、ごめんね」

そう言って闇の奧に歩きだすカイト。

「待って下さい」

追いかけようとルリだがウェディングドレスの裾を踏んで倒れてしまう。カイトはそれを気にせずに歩き出して闇の中に消えた

「待って・・・下さい」

その場に倒れたルリは涙を浮かべながらカイトの消えた闇を見つめていた





「・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「これは知らない方がよかったですね」

「ああ、覗き見る物じゃない」

カチャ

ヘルメットを外したルリが一瞬二人を見たが何も言わずに食堂から出た

「後で謝っておきますよ。セイヤさん」

「ああ、そうしてくれ」

ルリが出ていく食堂の扉を見ながら二人はそう呟いた




(カイトさん。私はあの夢の様に離れません。絶対に)

ルリはまだ潤んでいた瞳を閉じてそう心に言い聞かせた







カイトとルリの夢。ルリはカイトと幸せを望む。

では・・・・カイトもそうなのだろうか?

それが分かるのは何時なのだろうか。

もしかしたら来ないのかも・・・知れない









如何ですか?第8章。冷たき夢と始まり故郷。久しぶりに暗い話になちゃいました^ ^;。最近は忙しいのでみんなここにきてくれませーん

悲しいなっと・・

それではまた第9章でお会いしましょう。感想をヨロシクね〜^ ^





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