機動戦艦ナデシコ 〜忘却の白銀色の戦士〜 |
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歯車は回る・・・止まることなく・・・・ たとえそれが悲しい結末を迎えても 僕はきっと・・・歯車の回転を速めている それが正しいと信じているから・・・・ だから僕は・・・・・・ きっと・・・・自分に嘘をついてるんだろうな・・・・ 第7章 堕ちた金色の瞳と安らいだ嘘 ナデシコB艦内 「さて、これからどうするのですか?。艦長」 「ルリちゃん、俺は実際艦長じゃないんだから、そんな風に言わなくてもいいんだよ」 「ですが、既に艦長登録をされているのですよね?」 「登録?」 アキトは少し考え始めた。 (そんなのしたかな?。まだナデシコに来てから何もしてないはず) 「いや、別に何もしてないけど」 「そうですねぇ、アキトさんはまず最初にブリッジに向かいましたから、まだ艦長登録されてませんし」 プロスはルリや他のみんなに聞こえるように説明した。 「それにこれからは貴方が船の艦長した方がいいわ、ホシノ・ルリ」 「イネスさん、何故ですか?」 「火星の後継者が宣戦布告してきた以上は、アキト君に指揮下を任せるのは不本意よ。それに危険だわ」 「たしかに、そうですが」 「ルリちゃん、俺からもお願いするよ。俺が艦長をした所でユリカやルリちゃんみたいに出来る訳ないからね」 「・・・・分かりました。では、アキトさんにはエステバリスの操縦と食堂勤務に当たって貰います」 「分かったよ。ホウメイさんも居ないしね。ただ、まだ味覚が少しおかしい所あるから不味い料理になっちゃったらごめんね」 アキトは笑いながらそう言った 「でわ、これからナデシコBは火星の後継者の残存部隊撃滅の任務に就きます」 「でもさ、ルリルリ。これから何処行くの?火星の後継者の場所なんて分からないじゃない」 「火星の後継者の目的はある程度推測できます。私達はこれから火星へ向かいます」 「なるほどな。火星遺跡・・・。あの時の大戦から軍が管理しているとしてもあそこを火星の後継者が狙わない訳ねぇからな」 「しっかし、艦長。どうやって火星まで行くんだ。まさかこのまま行くって訳じゃないよな」 「それは分かっています。ですからヒサゴプランのネットワークシステムを使います。ここから近いコロニーを使って火星まで飛びます」 ルリはそう言うと艦長席に座り、指示を出し始めた。 「これよりナデシコBは近くのターミナルコロニー、コトシロに向かいます。皆さん、準備をしてください」 ルリの命令を聞いて、作業をする者、待機する者と分かれていき、ブリッジは慌ただしくなる 「じゃあ、俺は食堂に行くかな」 「アキト」 食堂に向かうアキトをリョーコが呼び止めた。 「後で喰いに行くから美味しい料理作ってくれよな」 「あっあははは、出来たらね」 そう言ってアキトはブリッジから出る。そのやりとりを見ていた。ヒカルとイズミはニヤニヤしていた。サブロウタは何やら複雑な顔していた 「ねね、リョーコちゃん。人の夫に手を出しちゃダメだよぉ〜」 「だっ誰がそんな事するか!!」 そうしてリョーコ達もブリッジから出ていった。 「やれやれ、何か面白くないぜ」 ナデシコBは火星へ向かう。これから始まる戦いの為に・・・最後の戦いの為に アマテラス付近 宇宙 「やはり・・・見つからない」 カイトはシルバーエステを使いながらアマテラスのメインコンピュータを探していた。勿論ユーチャリスも探しているが見つからなかった。 (反応もないし。やはり前大戦の時に持ち出されていたのか。そうなると・・・不味いな) 「カイト、見つかった?」 「いや、見つからない。ラピスちゃん、一旦帰還する」 「了解」 カイトはユーチャリスに戻るとブリッジの席に座り、ある事を推測していた。 (もし、メインコンピュータが持ち出されていたとするとシステムに干渉する事は可能になる。ヒサゴプランのネットワークシステムは敵の手か・・) 「カイト、お疲れさま」 ラピスはカイトの側まで行き、近くの席に座った。 「ああ、・・・ラピスちゃん。火星遺跡は何処にあるか・・分かるかい?」 「火星遺跡・・・今は火星にあるよ。前の戦いの時に火星の後継者がそこに持ち出したから」 「なるほど・・ね」 (そうなると・・奴らの目的は火星遺跡か・・しかし、何か引っ掛かるな) 「カイト、これからどうするの?」 「そうだね・・・取り敢えず、ジャンプして火星に向かう」 「また・・・カイトが飛ぶの?」 「そうだけど、何か問題あるかい?」 「・・・・・・また発作起きないよね?」 「・・・・・・・・」 カイトは答える事が出来なかった。あの六連と戦った時から体の状態がおかしかった。それは無理に飛んだせいなのかは分からないがカイトに取っては苦痛以外の何でもなかった 「・・・大丈夫だよ。きっと」 「・・・・・」 (最近の僕は・・・嘘つきだ・・) 「ならラピスちゃん。火星に飛ぶから後の準備はお願い出来るかな」 「・・・・やっぱり駄目」 「え?」 「カイトの体にはこれ以上は負担かけたくない」 「・・・・ラピスちゃん。その気持ちだけでいいよ」 「いや、ジャンプならコロニーさえあれば私だって出来る」 「それは・・・そうだけど」 カイトは少し困った顔をした。ラピスはなおもカイトに食い下がる 「だから、ここから近くのターミナルコロニーに行こうよ。そうすればそこからジャンプで」 「ラピスちゃん。ヒサゴプランのネットワークシステムは敵の手にあるんだよ。もし火星にジャンプしたとしても、別の所に飛ばされる可能性があるんだ」 「だけど・・・」 「僕なら大丈夫さ。だから心配しないで」 「・・・・やっぱり・・・嫌」 そう言ってラピスはオペーレション席に座り、ユーチャリアスの進路をクシナダに向ける 「ラピスちゃん・・・やめてくれないか」 「絶対に嫌」 「・・・困った子だ」 カイトは困った顔になったがそれ以上は何も言えなかった。たしかに火星までジャンプする事はできるだろうがその後の体の事を考えると怖かった。薬の数は既に半分になっていたからだ。 「なら、もし他の進路に飛ばされた場合は僕が単独ジャンプするよ。いいね?」 「・・・・分かった」 そう言ってラピスは暗い顔をする。カイトはそんなラピスの頭を優しく撫でた そうしてユーチャリスはクシナダに進路を取る カイトはラピスを撫でると展望室に向かった。最近カイトはよくここに足を運んでいる 「・・・・・・僕は何かを残せるのかな?イツキ」 「・・・・・・・」 (答えてくれる訳ないか・・・イツキ) カイトには分からない、それが正しい事なのか、悪い事なのか、ただ残された時間だけが過ぎていく 「カイト、クシナダに着いたよ。ブリッジ戻って」 「分かった」 カイトは展望室を名残おしそうにして見つめるとブリッジに向かった 「用意は出来ているのか?」 「うん、出来てる。幸いここには敵はいないから」 「そうか」 そうしてユーチャリスはクシナダのチューリップに入る。 「カイト、ボソンジャンプ開始するよ」 「ああ」 ラピスの体が輝き始める。ボソンジャンプをするときに起こる現象。カイトにもその現象は現れているがきつくはなかった 「ジャンプ」 ナデシコB食堂 「おい、テンカワ。ご飯お代わり〜」 「私もお代わりお願いできるかしら」 ウリバタケとイネスがアキトを呼ぶ 「は〜〜い」 アキトは急いで茶碗を受け取るとすぐに厨房に戻っていく 「しかし、テンカワが戻ってくれてよかったぜ」 「そうね。カイト君に感謝しないといけないわね」 「カイトは・・ああなっちまったがな」 「・・・・・」 「それでよ、イネスさんよ。カイトが一回ここに来た時に乗ってた機体なんだがよ」 「はい、お待たせ、イネスさん。セイヤさん」 「おお〜。有り難うよ」 「なら俺はまだ仕込みがあるんで厨房戻りますね」 「ええ、有り難うね。アキト君」 「でわ」 アキトはまた厨房に戻っていった。 「で、カイト君が乗ってた機体がどうかしたの?」 「ああ、ありゃあ人間が乗る代物じゃねぇ」 「どういう事かしら?」 イネスが少し複雑な表情をしてウリバタケの話しに食いついた 「あれはよ。機動性が普通のエステの3倍近くあるんだよ。他にも背後の方にグラビティブラストを圧縮したらしいキャノン砲なんか装着していやがる」 「・・・・・どちらも危ない代物ね」 「そうなんだよ。機動性は機体のチューニングしてもいずれガタを起こすし、キャノンしてみれば何時爆発してもいい代物だ。機動性の事もあるかもしれねぇが、ガタの起きた機体でグラビティブラストでもぶっ放してみろ。あっっという間に機体は爆破しちまうぞ」 「それを私に話してどうするの?」 「いや、別にどうもしないんだが、・・・心配でよ。あの機体見たときからどうも調子がでねぇから誰かに話したくてな」 「そうね。・・・カイト君は本当にいつ死んでもいいって人になっちゃったのね・・」 「誰から聞いたんだ?。それ」 「アキト君からよ。ここに来る途中にカイト君の事を色々聞かせて貰ったわ」 「そうか・・・いつ死んでも・・・か」 「・・・・・・・」 アキトはその話を聞いていた。別に聞きたくなくても聞こえてきたのだ (カイト・・・お前は・・・俺より酷いのか・・俺より辛いのか・・・カイト) アキトは辛かった。帰ってきてと言ってくれた大切な家族、親友と言うべき存在がそんな風になってしまった事に (だからこそ・・・止めるんだ) それがアキトの決めたことだった ナデシコBブリッジ 「艦長。そろそろターミナルコロニーコトシロに入ります」 「了解、ハーリー君。コトシロの状態はどうなって居るの?」 「ええっと・・・これは」 「どうした?ハーリー」 「ターミナルコロニーコトシロでは今・・・」 「?」 「戦闘中です!!!」 「了解・・・各自艦内戦闘態勢Aに移行して下さい」 ナデシコB艦内に非常ベルが鳴り響いた。 格納庫には既にエステバリス隊がスタンバイしていた。 「久しぶりの戦闘だな。気合い入れろよ。お前ら」 「リョーコちゃんもね」 「お金を払って入る風呂。それは銭湯」 「・・・・・・・・・」 「アキトさん」 ルリが心配そうにアキトに通信を入れた 「分かっているよ。ルリちゃん。大丈夫だよ」 アキトはそう言っているが気が高ぶっているせいか既に顔は光っていた 「テンカワ機、出る!!」 アキトはそう告げるとエステバリスを発進させた。昔から変わらないピンク色の機体 「よーし、俺らもいくぜ」 「いってきまーす」 「さってと行きますかね」 「逝ってきます」 そうしてエステバリス隊は発進した 「艦長、エステバリス隊、全て発進しました」 「了解。ディストンションフィールドを展開して連合軍の船は落とさないように各個攻撃して下さい。 「了解。ルリルリ」 コトシロ付近 宇宙 「火星の後継者・・・ユリカを奪った次は・・・カイトを壊したお前らを俺は許さない!!!」 アキトは次々と火星の後継者のエステバリスを大破させていく。別に火星の後継者は弱くない。ただアキトが強いのだ 「お〜。アキトの野郎。やりやがるぜ」 「こっちも負けてられないね〜」 「当然」 そうしてリョーコ達も息の合ったコンビネーションでヤンマ級戦艦を落とす。 「俺だって負けてられないって〜の」 サブロウタもアキトに負けずエステを次々と落としていく。 「サブロウタさん、前方30度の方向」 「はいよ〜」 アキトの声にサブロウタは反応してギリギリで積巳機からのミサイル攻撃を避ける 「あっぶねぇ〜。サンキュ。テンカワ」 「気にしない、さあ、行きますよ」 「はいよ」 アキトはフィールドランサーでヤンマ級戦艦のフィールドを一瞬だけ無効にする為に攻撃する 「今です!」 「おまかっせ〜〜」 その隙にサブロウタの乗るスーパーエステから放たれるレールカノン砲、一瞬にして大破するヤンマ級戦艦 「へへ」 「さすがですね」 「お前が援護してくれたからだよ」 「凄い・・・テンカワさんってあんなに強い人だったんですか?」 ハーリーはルリにアキトの事を聞いた 「別に昔は強くなかったです。ただ・・・今の彼はこの宇宙連合軍の中で・・最強に近いです」 「そうなんですか?」 「そうだと思います」 「へぇ・・・・」 ハーリーは少し唖然としていた。そんな人が一緒に戦っているのだからだ 「うん?ルリルリ。敵反応。敵の援軍よ」 「了解。ナデシコBはこのままリトリアス級戦艦を援護します。」 「了解」 いきなり通信が入ってきた。リトリアスに乗っている軍の人だろうか、酷く慌てている。 「ナデシコB艦よ。逃げるんだ」 「は?」 「え?」 「どうしてですか?戦局はこちらに分があると思いますが」 「ちっ違う。あれは援軍ではない。戻ってきた戦艦なのだ」 「どういう意味ですか?」 ルリは疑問に思い聞いた 「つい先ほどまであの戦艦一機に我々部隊は全滅近くまで壊滅させられたのだ」 「・・・・しかし、こちらも宇宙軍最強と言われている戦艦です」 「違うんだ。奴は・・・奴は悪魔だ。赤い悪魔なんだ」 「通信途絶えました」 リトリアス級戦艦は逃げるようにナデシコBから離れていく 「いけない」 リトリアス級戦艦が逃げる方向に一機の赤い機体が高速の速さで近寄ってきた 「戦局で背後を見せるとは迂闊」 「うっうぁぁぁぁぁぁ」 ドカーーーーン 一瞬にして大破するリトリアス級戦艦 「・・・ナデシコBか・・滅しべき宇宙軍の戦艦め」 「あの機体は・・・・」 「どうした?テンカワ?」 「くっ」 アキトはエステを飛ばすとその赤い機体に攻撃をしかける 「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」 「む」 赤い機体もそれを受け止めるとまるで人ように機体を後退させる 「貴様・・・出来るな」 「お前は・・・北辰か!!」 「あの汚れたような輩と一緒にしないで貰いたいな」 「何?」 「怨!!」 「くっ」 錫杖型の武器でアキトの乗るエステに斬りかかるがそれをアキトは避ける 「おい、テンカワ。無理するな」 「そうだ、アキト。こいつは今までの敵じゃねぇ」 「・・・・分かっている」 アキトは落ち着きを取り戻すとサブロウタ機の横に寄った (北辰なんかじゃない。奴はもういない。落ち着け。落ち着け) 頭ではそう思っていても体はまだ光を放ちながら落ち着きを取り戻さない 「艦長。アキト機の脳波乱れています」 「帰還命令をして下さい」 「了解」 「アキトさん。一旦戻って下さい。危険です」 「しかし」 「艦長命令です」 「・・・・・分かった」 アキトは一瞬驚くとナデシコBに戻った 「ふっ、威勢のわりには衰えているな。テンカワ・アキト」 「五月蠅い・・・黙ってろ」 そう言いながらサブロウタはレールカノンを連射する 「ふっ」 赤い機体、既にアキトだけは知っている名前の機体、夜天光はレールカノン攻撃を避けながらサブロウタ機のレールカノンを真っ二つにする 「くそ」 「いくぜ、ヒカル、イズミ」 「了解。こいつは一気にかからないとヤバイよ」 「本気で行かせて貰うわ」 そうしてリョーコ機、ヒカル機、イズミ機が一斉に攻撃をしかけるが落ち着きのある動きで全てを攻撃を避ける夜天光 「くっそたれ〜〜〜」 リョーコ機が投げるイミディエットナイフが夜天光の肩に突き刺さる 「む、我に攻撃を与えるか」 夜天光はそれを抜くリョーコ機に投げる。 「リョーコちゃん」 それをヒカル機がラビットライフルで撃ち落とす 「やるわね。相手さん」 イズミ機がレールカノンを連射し続ける 「ふっ、まあいい。今は引いておくが次はないと思うがいい」 「この〜まちやがれ」 「リョーコ、落ち着きなさい。私達では無理よ」 「そうだよ。サブロウタさんとアキト君が苦戦したんだよ」 「くっ・・・」 そうして夜天光は敵戦艦に戻り始める。 「くそったれが」 「艦長・・・今の機体は」 「あれは・・・間違いありません」 「南雲・・・ですかね」 プロスが眼鏡を上下に揺さぶりながら告げる 「はい、そうみたいですね」 「くっ・・・奴が南雲」 「アキトさん」 「大丈夫だよ。ルリちゃん。格納庫から出てすぐにブリッジに来ただけだから」 アキトは落ち着きを取り戻しながらそう言い放った。顔の光は少し収まってはいるが、まだ少し名残があるように光っている 「テンカワ、落ち着いたか」 「有り難う御座います。サブロウタさん」 「いや、いいよ。しかし奴は・・・」 「強い・・・わね」 今まで黙っていたイネスが口を開いた 「どうするかな」 「別にどうもしません」 ルリはいつもの変わらない口調で告げた 「敵なら・・・戦うしかないんです」 敵は退却したがブリッジには重苦しい空気が流れていた 彼らもまた戦い始める 歯車を回る 止まる来なく回る それは歴史を繰り返すように ども〜。闇光です。 最近仕事に追われながらこれをヒィヒィと書いております(;-。-)y-゜゜。これから先はNADESICO THE MISSION編と同じ様な流れ為ります。 ・・・・・ネタバレしちゃったよ。HAHAHA さってこれからも感想をドシドシ下さいね。m(__)m |
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