… 星の煌(きらめ)きは人の想(おも)い …










… 星の数ほど人がいて …










… 人の数ほど想いがある …















… そして、想いの数だけ物語がある …















… そう …














… これはひとつの物語のはじまりにすぎない …




















































薄暗い空間に置かれた 『遺跡』 の前で、二人の男女が無表情で佇んでいた。





男 「…また失敗してしまったな……もう、これ以上くりかえすのは……

「…すべてを私達が望むままのモノにするのは、不可能よ。私達は、人間なのだから…」


男 「あの時、僕が過去へ跳んでしまわなければ、狂った世界を無限に渡り続ける事はなかったかもしれない…」

「そうね…記憶をもちながら跳んで世界を変えようとするなんて、もう私達も狂っているのでしょう…きっと…」

男 「…僕はくりかえし君と出会うたびに、いつの間にか年をとれず、随分と若返ってしまった…」

「…多分私達は、この時と世界から不要とされて、緩やかに無へと帰って行くのね…」

男 「…そんな無常なモノに君を巻き込んでしまった…すまない…」

「…いいのよ。本来の私は生まれることができなかったのだから…私は後悔していないわ。それに…」

男 「…そうだね。…今までひとつずつ、痕跡を残しておいて来たのだから…」


「…私、あの人が幸せな夢をみたの。…大切なあの人と二人の…」

男 「…やはり無駄にはしたくないな。…このプレ−トを互いの身体に融合させて、そして…」

「…そうよ。もう一度だけ、やりなおしてみましょう…

男 「…無限の時と空間と可能性のなかで、今度こそ本当に見つけることができるのだろうか…」

「…貴方と私、また恋人になってるかもね。でも…」

男 「…記憶は消してしまわなければ…」


「…今度こそ、一緒に光に包まれて生まれましょうね。大切なモノを、強く願いながら、絶望せずに…」



男 「…わかったよ。…もう一度だけいくよ… "姉さん" …


















































...夢をみていた...










心の闇がいつしか晴れて、漸くたどり着いた暖かなモノ...





それは大切な時間、大切な場所、大切な人々...





そして見つけた大切な...










いつまでも続いて欲しい、続けていたかった大切なモノは...





そっと両手で掬いあげても次第に零れ落ちていく水となり...





澄んだ水は、赤い雫と化し...










そして再び闇へと散っていってしまった......




















「……ここは……」



薄く瞼が開かれた


朦朧とした意識は、未だ夢か現実かを判別できなかったが、身体の感覚が少しずつ覚醒を促していく


視界は未だ暗い。が、無数の煌きが見えてくる



ほのかに薫る花の色



呟いた声と柔らかな風の音



水のせせらぎ



暖かい草の大地を背に感じ、心が安らぎに染まっていく...





だが...





...血の味がする...





目覚めつつあった意識と記憶がそれを拒むように、再び闇へと落ちていった...





瞳から頬を伝うものが、どのような色なのか、終には確かめることもできずに...






























機動戦艦ナデシコ セカンドスト−リ−

無限の時空(とき)の中でみつけた、大切なモノ



――― 序章 〜幸せな未来〜 ―――































「ねぇアキト♪ 次はアキトの番だよ!」

「へっ!?オレ?」



ユリカが歌う、あまり上手ではない 『私らしく』 の曲の歌詞を聴いて、少しボ−ッとしていたアキト。



『ナデシコ』 を降りてからは貧乏だが、不思議と暖かい気持ちに包まれている、今の自分の生活。

ユリカにようやく言えたプロポ−ズの言葉。 それに喜んでくれたユリカが、映画に誘ってくれた。

映画を観た後、一緒に暮らしているルリとカイトに、結婚式の案内を嬉しそうに渡していた。


すると食事の時にカイトが、「じゃあ内祝でカラオケしませんか?」 と言って、ユリカが賛成した。

ルリは、「私、あんまり上手くないです…」 と恥ずかしそうに言っていたが。





「アキトさ〜ん、早く歌わないとユリカさんの一人リサイタルになりますよ〜っ!(笑)」

「そういうカイトさんも…言いだしっぺのくせに…まだ一曲しか歌っていませんね…」


場を盛り上げようとしたカイトの隣で、ルリが冷静に答える。


「カイトくん、曲を作るのは上手なのにねぇ〜♪ お姉さんはちゃんと知っているよ!」

「そうは言っても、知っている歌が少ないから仕方ないでしょ。 ここ、ほとんど見つからないんです…(涙)」

「つまり…歌える曲が "マイナ−" なもの…ということですね。(冷たいつっこみ)」

「え――っ! カイトくんって、オ○クさんだったの!! ユリカ、それはしらなかったよ〜♪ しくしく…♪(嘘泣)」

「!?(泣)」


そのやりとりを眺めていたアキトが、やれやれといった表情をして会話に参加する。


「ユリカ、それは違うぞ。」

「へっ!? そうなの? まあ〜いいか。 ねぇアキト、早く歌ってよ♪」


そうしてアキトが選曲に迷っていると、ユリカが「じゃあじゃあ♪」と楽しそうにルリに声をかけた。


「ルリちゃん♪ ふたりでデュエットしよっ! 曲は、う〜んとねぇ… 『星座の海を行こう』 …これにしよっ!(喜)」


… 決定!! …とばかりに V サインをきめるユリカ。


「はぁ、…別にいいですけど…」


どうでもいいような言い方のルリだが、内心はこの "ノリ" が少しずつ "楽しい" と感じていた。



… どうやら、まだまだこれから盛り上がって行きそうですね …










……歌い終わって外に出ると、寒さがちょうど良い心地になった。


ユリカは 「またみんなで来ようね!」 と上機嫌にはしゃいでいた。

彼女をみて、微笑むアキト。


カイトは、ふたりを祝福しながら…隣で少し躊躇(ためら)うような義妹を見て… 「クスッ」 っと吹き出してしまう。

白雪の肌を薄く染めたルリが、みんなで歌った曲を思い出している……










≪ 順番.歌手 ( +途中参加 ) 『 曲名 』 ( CDタイトル #ナンバ−.) ≫



01.ユリカ 『 YOU GET BURNING 』 (CD−001 #01.)


02.アキト 『 レッツゴ− ゲキ・ガンガ−3 』 (CD−001 #13.)


03.ルリ 『 白い月 』 (電子の妖精 #08.)


04.カイト 『 ○の星へ○をこめて 』 (…○動○士○ガ○ダ○…)


05.アキト 『 飛翔け ゲキ・ガンガ−3 』 (明日の艦長はキミだ! #03.)


06.ユリカ 『 Delicious Island 』 (明日の艦長はキミだ! #07.)


07.ルリ 『 冬の花 』 (電子の妖精 #04.)


08.アキト(+ユリカ) 『 勝利のVだ!ゲキ・ガンガ−V 』 (明日の艦長はキミだ! #04.)


09.ユリカ 『 ようこそHAPPY DAY′S 』 (続・お洒落倶楽部 #09.)


10.ルリ 『 For a Brand New Day 』 (電子の妖精 #10.)


11.ユリカ 『 In the Stillness 』 (電子の妖精 #01.)


12.ユリカ 『 わたしらしく 』 (お洒落倶楽部 #13.)


13.ユリカルリ 『 星座の海を行こう 』 (続・お洒落倶楽部 #01.)


14.アキト・カイト(+ユリカ) 『 エステバリスのマ−チ 』 (明日の艦長はキミだ! #08.)


15.ユリカ 『 I′M NOT A HARD−LUCK WOMAN 』 (続・お洒落倶楽部 #11.)


16.アキト(+カイト) 『 正義のロボット ゲキ・ガンガ−3 』 (これがホントの「三枚目」 #08.)


17.ルリ 『 SHADY DOLLだったけど… 』 (続・お洒落倶楽部 #12.)


18.カイト 『 いつか……信じて 』 (これがホントの「三枚目」 #19.)


19.ルリ 『 Dearest 』 (電子の妖精 #05.)


20.ユリカ(+ルリ) 『 あなたの一番になりたい 』 (明日の艦長はキミだ! #10.)


21.カイト(+ユリカ+アキト+ルリ) 『 Forever Love 』 (お洒落倶楽部 #01.)


22.ユリカカイト 『 ROSE BUD 』 (Nadesico the movie #20. )


23.アキト・ルリ 『 Together 』 (お洒落倶楽部 #11.)


24.ユリカ・アキト 『Just Only You Know 』 (明日の艦長はキミだ! #06.)


25.ルリカイト 『 Sweet Call 』 (電子の妖精 #06.)


26.ユリカ・アキト・ルリカイト 『 銀河のクリスマス 』 (明日の艦長はキミだ! #02.)















… おもわず、歌ってしまいました …



ルリは …自分がおもわず歌った曲の多さを思い出して… 少し照れた顔をしている。



… 最後の方は、デュエットしたり、みんなで歌ったりして …










外に流れるクリスマスソング。


最後にみんなで歌った曲がまだ流れていた。










…アキトは …両親を失って忘れかけていたモノを、取り戻す事ができたと… 実感する。





結婚の告白をした後のユリカの笑顔。


嬉しそうな顔で祝福してくれた…カイト、ルリ…


これからユリカと一緒に歩いていてゆける場所。


ルリもカイトも一緒にそこにいてくれる…





… これが 『家族の幸せ』 …なんだな …





血の繋がりはなくても、確かな絆を自分は結ぶことができた。





… この暖かな気持ちをいつまでも感じていたい …と彼は願っていた。










カイトも、みんなで盛り上がることができて嬉しかった。


特に…ペアで歌うことができる…とは思ってもいなかったのだから…





ふと… 一緒に隣を歩いている少女 …に視線を移す。


彼女と交した言葉は、今の自分に大切なことを教えてくれた。



… 今日もまたひとつ、大切な思い出ができたこと …



それがなによりも、自分にとって嬉しい事だ。



… 心の隙間を埋めてゆける安心感 …



ユリカに逢う前の記憶は、いまだ思い出すことはない…



… 失われた記憶 …





どんなに悲しくても、つらくても、思い出してみたい……


















































…だが、カイトは自分の記憶が封印されたものだと、考えた事は一度もなかった…





… 封印された、開けてはならないパンドラの箱 …





… 果てしなく暗い、闇の海の底へ沈めた記憶 …





… 記憶を無にして …












カイトは …暗闇に独り、佇むことを… 無意識に恐れている。





自分の周りから誰もいなくなってしまうことに、脅えている。





… 大切な場所 …





… 大切な人たち …





… 大切なモノ …







自分の記憶を取り戻すことをどこかで恐れているのかもしれない……


















































…今のカイトは、アキトと同じ気持ちを感じている。



…おそらく…ユリカも、ルリも…



やっと見つけた大切な居場所を、失いたくなかった。





そう …これが自分の望む… "大切なモノ"










カイトは、前を歩いているふたりと…



隣で歩く少女の存在を感じながら…





… ふっと囁いた …






























「… ここが大切な "未来" なのかもしれないね ……… "姉さん" …」














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