『
撫子荘
』 二号室
〜 『
運命の出逢い
』 みたいな・・・ 〜
「私が当学園の提督…うぉほんっ…もとい、
学長の、
御統・幸一郎(ミスマル・コウイチロウ)
であるっ!!」
おそらくだれもが思うだろう…『
サ○−ちゃんのパパヘア−
』…の男性が、壇上で大きく叫んだ。
ボクも含めて、ほとんどの新入生がその声量を目の当たりにして、目を回している。
気がつくと、その場に居る教員や、式典を手伝う上級生は皆…
それが毎度お馴染みの事であるかのように、しっかりと耳を防いで涼しそうな顔をしている。
…なるほど、これは一つ賢くなったぞ…これからは、注意しよう…
そんな、こんなで始まった、ボクの学園生活。
けれど、待ち望んでいた新しい学園生活は、ちょっとしたある事件から始まりました。
『撫子学園』 は、〜幼等部・初等部・中等部・高等部・大学・大学院〜を有しているマンモス校。
そう、ここはもう 『学園都市』 といえるくらい広大な規模を誇っています。
『撫子荘』 から30分ほど歩くとJR駅があるのですが、その駅から 『撫子学園』 へ向かうモノレ−ルが…
7駅…すべて学園の敷地内に所在しているのです。
そして高等部は、JR駅から4番目の駅で降ります。
その他にも交通手段としては、バス通学・車(許可が必要)・バイク・自転車などがあり、学園寮もあります。
…ちなみにボクは、『撫子荘』 から自転車で通っています。 結構遠くて、大変ですが…
エスカレ−タ−式の学校なので、幼等部から入れば進級するのはそう難しくはないけれど、
外来から入学を希望する者にとっては、高い学力をもつか、変わった特技(笑)がないと、
この学園に入るのは、かなり難しいのです。
でも、その規模の大きさと生徒会役員部の実行力のおかげで、よくイベントが企画されており、
学園内は、それこそ年中お祭り騒ぎとなるのです。
そして新学期が始まると、学園内で顔触れを馴染ませるために行われる毎年恒例のイベント、
『
新春ミス撫子祭り
』 が開催されます。
「よう、カイト!」
入学式が終わって体育館を出た時、軽い調子の声とともに肩を叩かれた。
中学二年から同級生の、
高杉・三郎太(タカスギ・サブロウタ)
だ。
「
サブロウタさん…相変わらず、金髪&長髪ですか?
」
「地毛だよ、ジゲッ!(ニヤッ)」
…たしか彼は、"純日本人" …だったと記憶しております、が…
苦笑するボクにサブロウタさんは別に問題無いよという顔をしている。
本当にあっさりと言います。(笑)
ボクもサブロウタさんも、中学は 『木連中学校』 を卒業しました。
昔の彼は(自称)真面目な体育系…だったそうですが、とてもそうには見えません。
少なくともボクと出逢った時の彼は…すでにこんな感じで、からかう顔は今も変わっていません。
でも、一見軽薄そうに見える彼ですが、やる時にはキチンと決めます!
受験前の 【
『撫子荘』 トトカルチョ
】 での、彼の 【
『撫子学園』 不合格決定
】 オッズは、
18
対 2。
結果は、サブロウタさんとボクだけが大勝利を決めました!!
…余談ですが、それとはまた別の意味でも彼は決めます。
…あまり決めすぎると、どっかの会長さんのようなスキャンダルになっちゃうんですけどね…
ミナトさんはそんな彼を、たしか…
「"
悪友
" …でしょうけど、大切にしなさいね。」
…と、微笑みながらボクに言っていたっけ。(笑)
「カイトォ〜、いつも言ってんだろ。 俺のことは、『サブ』 か 『兄貴』 で良いって!(耽美)」
「
イヤです!!
」
キッパリとそう答える。
ボクにそういう趣味はないし、そういう風に他人からみられたくもなかったから。
まあそういうのは、彼特有の冗談だと知ってはいるけど…
予想通り…周囲の女子達が、そんなボクたちを面白そうにみて、
キャ−キャ−
と騒いでいる。
彼は良くボクをからかって、周りの注目を集めるクセがあるのだ。
…けれどボクはあまり、注目されたくない…(涙)
「だって、俺。 かわいい
仔犬
が好きなんだよ。(愛)」
「
う――っ! ボクは犬じゃない!!(怒)
」
逆効果。 余計人目についてしまう。
…もう、かんべんして…
そんな彼とはまた一年間、同じクラスとなってしまった。
せっかく、夢の学園生活で心機一転できると思っていたのに…(涙)
サブロウタさんっ! ボクの腕に手を絡めるのはやめてくれぇ〜
…ふと悪友が疫病神にみえたりして…
そのまま彼に引っ張られてしまったのですが、教室に近づくとなんか急に彼の瞳が生き生きと輝きだして…
そう、それは彼がまた新しい
華
を見つけたような顔で、ボクに話かけてきました。
「そうだ、カイト。 気づいたか? 俺達のクラスに
超〜カワイイ美少女
がいたのをよぉ――!!
(熱)
」
「
顔は見たの?
」
「もち。 あたぼ−よ!(嬉)」
彼のいう少女に、ボクも心当たりがある。
…おそらく、彼女のことだろう…
入学式の時に一人だけ、後ろ姿を見ただけで違うとわかる "
小さな女子生徒
" が、
一番前の席に座っていたのを思い出す。
入学式の会場は、幼・初・中・高等部それぞれ場所が違うんだけれど、なぜか学長の挨拶は高等部だけだ。
なにせこの学園って敷地が広いからなぁ。 おまけに、あの学長は "親バカ" だし…(笑)
会場入りの時にかなり外が混雑していたから、彼女も迷ったんだろう。
…彼女は
外人
さん、だもんな…
それにこっちで入学式をしたからといっても、べつに問題無いんじゃないかな?
「
背が小さくて顔は見えなかったけど、
単に彼女、高等部と初等部の場所を間違えたんじゃないかな?
」
そう結論したボクの答えを、彼はあっさりと却下してしまった。
「バ〜カ。 彼女は、ちゃんと
高等部の制服
を着ているンだぜ。
ありゃ、きっと
留学生
だ。 向うには "
飛び級
" ってモンがあるだろ?
ついでに背が低いのは、おまえさんもおんなじだ!(皮肉)」
そう言われたボクは内心ムッときた…
…確かにこの歳の男で、
150
しかない背は情けない…
…が、同時にボクは、彼のこういう所に感心を覚える。
女性に関する事となると、とたんに頭の回転が良くなるからだ。
なにせこの学園に受かったのも、保健医のミナト先生がいたから、という事をボクは知っている。
「ぜってぇ−俺に、惚れさせて見せる! う〜ん、
萌
えて来たぜっ!!」
…危険なプライドですね、サブロウタさん。 …あなた、守備範囲が広すぎますよ…
後ろ姿しか見てないけれど、彼女が高校生だとはどうしてもボクには思えない。
…どう考えても "
小学生
" としか…
その時のボクは(サブロウタさんは別として)少なくとも自分は常識人だと思っていた。
けれど後々になってボクは、彼女が "ただの小学生だ" という認識を改めざるをえなかったのでした…
「
星野・瑠璃(ホシノ・ルリ)、11歳。 外国の学校で飛び級したので、高等部に入学しました。 よろしく。
」
「うおおおおおぉおおおぉぉぉ――っ!!
萌ぇっ
!!!」 (男子生徒諸君)
「
きゃああああぁあああぁぁぁっ!!
カワイイ−っ
!!!
」(
女子生徒全員
)
こりゃまた、ビックリ!! …サブロウタさんの言った事が凡そ当たりました。
彼女は流暢な日本語を使って、実に(淡々としながら)明確な自己紹介をします。
白雪の肌とルリ色の髪でストレ−ト、金色の瞳で無表情という、一風変わった11歳の美少女。
彼女はスウェ−デン出身とのことで、髪と肌の違いを説明しています。
ただ、留学生ではなく(彼女は日本国籍なので)
帰国子女
(
少女
)だ、そうですよ。 サブロウタさん♪(反抗)
そして、1年C組に響く怒涛の大声量!!!
(=学長の声量の30倍。)
ボクは…というと、思わずポカンとしてしまう。 彼女の後ろで。
…あの時の……後ろ姿と…同じ子なんだ…
背の小さな者から前に座っていく席順のため、一番背の低い(
120cm
)彼女は、最前列窓側の席に座った。
男子で背の低いボクは、その順番によって彼女のすぐ後ろの席に着いたのだ。
突然、ボクの頭に何かがぶつけられて、ハッとする。
後頭部をさすりながら振り向くと、廊下側最後列でサブロウタさんが怒った顔をしている。
『ウ・ラ・ヤ・マ・シ・イ・ゾ・ッ・!・コ・ン・チ・ク・シ・ョ・−・ッ・!
イ・マ・ス・グ・オ・レ・ト・セ・キ・ヲ・カ・ワ・レ・ッ・!・!』
中学からの悪友は、無言の
ジェスチャ−
でそう叫ぶ。
なぜだかそれをボクはすぐに解ってしまう…
…でも、いったいどこでもらったんですか? "腐ったみかんの実" を投げつけてくるなんて…(涙)
クラス全員の自己紹介が済むと、担任の
山田・二郎(ダイゴウジ・ガイ)
先生が、拳を握って語りはじめた。
「
いいか−っ! 俺達は一年間を共に生き抜く戦友だ! 誰一人欠ける事なく、俺についてこいっ!!
」
その熱い口調のノリに、なぜかクラスのおおよそが団結し、ノっています。
… 一部の生徒を除いてですが …
このノリは、『撫子荘』 で慣れてますし、自分が巻き込まれなければ、ボクは結構冷静でいられます。
ふと前に座る少女の横顔が見えて…実に呆れているような表情で…彼女もこのノリに結構なれているのでしょうか?
…どことなく彼女から、冷気を感じますが?…
まぁ、教室全体の温度が高いので、ボクにとってここはちょうど良い感じの場所ですけどね♪(笑)
…そういえば、ガイ先生って…性格はちょっと違うんだけど…容姿が何処となく九十九さんに似ているような…?
…山田先生は、ガイ先生と呼ばないと怒りますので、こう呼びます。(笑)
けれども、ボクは後で知ります。 この二人の恐るべき共通点に!
ガイ先生の担当は保健体育。
学期末のペ−パ−試験で、とんでもない問題を出し、学年平均点を大きく下げる事件を起こすのです。
ボクはその時、九十九さんに感謝していました。
…なにせ配点が50点もあったから…
ちなみにサブロウタさんは、試験中でもどこか楽しそうに、鼻歌を交えながら解いています。
「
夢が明日を呼んでいる〜♪
[
超マニアックなアニメソング
]」
少女の呟き…
「
…バカばっか…
」
全員の自己紹介が済んで、後はクラスの委員長と副委員長を決めるだけで終わるとの事。
その結果については、大方の予想どおり…
クラス委員長 →
星野・瑠璃
(: ほぼ全員での推薦決定。 本人はどうでもいい様な感じで了承した。)
クラス副委員長 →高杉・三郎太(: 立候補者多数の中、
女子
の票を多数獲得し決定。 してやったり顔。)
意外にも、ボクにも副委員長の推薦があったけど、立候補者がいるからと言って、謹んで辞退しました。
でも本当は皆が騒いでいる間
…前に座っている小さな背中をみていて…
ふと感じたことがあったから。
…彼女… どことなく寂しそうな雰囲気をしているのに、人と関わる事を避けているようにみえるのは… まるで…
後でその事をサブロウタさんに話したら、
「それなら大丈夫だ! 俺に任せておけっ!!」 と意気込んでいたっけ。(笑)
…確かに、サブロウタさんなら大丈夫だろう…
彼が相手を気遣うのは、本当の優しさからきているから…
少なくとも彼のおかげで救われた人を、ボクは知っている。
初日の授業はこれでおしまい。
…!すると突然、ボクはイヤな予感がした!…
!!後ろから襲って来る人の波!!
!!!新たなクラス委員長である美少女の下に群がる人波に、ボクは飲み込まれてしまう!!!
〜その姿は♪、まるで愛らしい
仔犬♪
が川に落ちて、無様に♪溺れているようだった…(美)〜
と、白々しく涙を浮べながら、後になって悪友はボクを慰めるのです。
意の一番にボクを踏み台にしたくせに…
…彼が相手を気遣うのは、本当の優しさからきているから…
やっぱ、訂正しようっ!
…………年中色情魔の好事家で薄情者…………
暫くすると彼女は…
「
用事がありますので、ゴメンなさい。
」
と淡々と冷めた口調で、それでいてみんなに向かって丁重に断ると…
その場から立ち去るように教室から出ていってしまった…
下校しようとした時、校庭では各サ−クルの勧誘合戦で盛り上がっていました。
「
サブロウタさんは、また音楽をやるの?
」
「う〜ん。 ど〜すっかなぁ。 みんなの
熱ぅ〜い推薦
のおかげで、副委員長を受けちまったしなぁ〜(罪)」
…たしかこの人、自分で
立候補
しましたよね?…
サブロウタさんは、エレキギタ−が上手なんですが、演奏曲のほとんどは 『アニメタル』 がメイン。
最初は、彼の見た目とギャップがあって、ちょっとビックリ。
…でも、クラスメ−トの女子にはヤケに受けていたなぁ…(笑)
「そうゆう
カイトくん?
は、ど−すんのかな?(ニヤリ)」
「
ボクは…バイトがあるから、あんまり…
」
「おいおい! ようやくおまえさんが望んだ、学園ライフの夢がかなったんだぜ。 少しはよ…」
そう言ったサブロウタさんの顔は、もうふざけていませんでした。
彼はボクの事を真面目に心配してくれています。
そんな二人の沈黙を破ったのは、親しい人たちの声だった。
「あ、いたいた♪」
「お〜い!」
「やあ、久しぶり。」
ボクの父方の従姉弟の姉である
御統・百合花(ミスマル・ユリカ)
先輩。
「や〜だ、なんか照れちゃうよ♪ カイトくん。 今までどおり、ユリカでい−よ!」
同じく、ボクの母方の従兄弟の兄である
天河・明人(テンカワ・アキト)
先輩。
「入学おめでとう。 カイトにサブ。」
そして、ユリカさんとアキト先輩二人の幼馴染みで、高等部生徒会副会長の
葵・純(アオイ・ジュン)
先輩。
「待っていたよ、カイト君。 …サブロウタ君は、意外だったけど…(苦笑)」
「そりゃひでぇ〜よ、ジュンさん!!(泣)」
サブロウタさんが脹れた顔をすると、みんなでそろって、笑ってしまいました。
「そうだ、君達。 帰る前にちょっとしたアンケ−トに答えてくれないかな?」
しばらくみんなで会話をした後に、ジュンさんがふと話題を変えました。
「アンケ−ト?っすか。」
頭に?をつけたサブロウタさん。
「まぁ、毎年恒例のお祭りだから、真面目にやらなくても大丈夫だよ。」
…なんだかアキト先輩は、悪戯っぽく笑いながら言ってますね…
「今年は強敵が入学してきたから、ユリカの "13連覇" も、ちょ〜っとヤバいんだな…えへへ♪(自慢)
でもでも〜絶対に 『
ルリちゃん
』 には、負けないぞぉ〜♪」
「
ルリ
ちゃん!?」
「
星野さん!?
」
ユリカさんのセリフに、おもわずサブロウタさんと声が同調する。
「うん、そうだよ。 ユリカとアキトの幼馴染なの♪ …あれれ? カイトくんには言ってなかったっけ?
小さくてと〜ってもカワイイんだよ♪
小猫
さんみたいなの♪」
…ユリカさん、ボクのことは 「小さくてカワイイ、
仔犬
さんっ♪」 って言ってましたよね…
「
瑠璃ちゃん
、すごく人見知りする女の子だからなぁ。
どこへいったのかを探してはいるンだけど…」
心配しているアキトさん。
まるで、
可愛い妹
が迷子になって、知らない人についていってしまったのでは?
という心境のようです。
その気持ちなら、ボクにも良く解りました。
「彼女は、ここの高等部に入学できるくらい優秀な子だから、大丈夫でしょう。
それにしても君達と同じクラスだなんて、偶然ですね。
もしも、学園内で彼女を見かけたら 『生徒会室で待っている』 と伝えてあげて下さい。」
ジュンさんはそう言って、ボクとサブロウタさんにアンケ−ト用紙をくれました。
そして今日は、みんなそこで解散しました。
もらった用紙には、こんな内容が書かれていました。 新入早々、
第一弾のイベント
です。
―― 『新春ミス撫子祭り』 開催のお知らせ ――
新春のあいさつ……………
・『新春ミス撫子祭り』 は、投票対象を当学園の女子生徒とし、投票権は男女問わず生徒全員にあります。
・第一印象、容姿の好み、親しみやすさ、と投票理由は各自で自由にお決め下さい。
・学年ごとに票を集計した後、それぞれの年齢で候補者をひとりずつ選出してお知らせします。
・尚、候補者に選ばれた者には、イベント参加の拒否権はありません。 あしからず。
・候補者は歌を唄ったり、水着審査をしたりする事はありませんのでご安心下さい。(笑)
・当日イベント壇上に昇っていただき、簡単な自己紹介をするだけです。
・このイベントの目的は、あくまでも、この広い学園での顔合わせ、親睦の推進にあります。
・本来の意味での 『ミスコン』 は、秋に開催予定の 『撫子学園祭』 にて実施します。
・また、投票対象を男子生徒とするコンテストは、夏・冬に開催予定の 『ナ〜イス・ガイ!』 があります。
……………等々。
―― 『新春ミス撫子祭り』 生徒会実行委員会 ――
ジュンさんから貰ったアンケ−ト用紙を見たサブロウタさんは…というと、
「おっしゃぁ!! そういうことならば、任しておけ!!
(燃)
」
…突然、水を得た魚のようになったようですね…
その後は女子生徒の群れを目指し、突進してしまいました。(笑)
締め切りには、まだ時間がありますし。
…あの人は一体、何人の女性に声を掛ける気なのでしょうか…
ボクはといえば、後々ジュンさんに熱心に頼まれたこともありまして…
…ジュンさん、報われぬ愛をいつまでも追いかけていては…
まあでも、今回は先輩の恋人でもあるユリカさんに投票しました。
…みんなには、内緒です…
結局、その日は星野さんに会うことはなかったのですが、暫くしての事…
4月中旬に発表されたそれは、各学年すべて同一人物が一位を獲得する、前代未聞の結果となった。
というのも、通常は年齢ごとに一つずつ枠があり、壇上に上がれた者は、
全員すべてが 『新春ミス撫子』 となるそうです。
そう言う事で、彼女には 『
史上初の新春ミスグランド撫子
』 という、栄えある称号が与えられました。
…
特別結果発表
…
イベントホ−ルの壇上に候補者が立ち並び、その中に
…ユリカさん…と…星野さん…が居た!…
イベント台上で司会のジュンさんが、更に雰囲気を盛り上げようと演出しています。
そして栄えある称号とともに、『星野さん』 の名前が宣言されました!
すると彼女に 『
スポットライト
』 が!!
突然沸き上がる大歓声。
揺れる大イベントホ−ル。
学園史上初の結果が、『新春ミス撫子祭り』 の大盛況と大成功を導きました。
…あっ(笑) ユリカさんが、星野さんの快挙を喜んで、そのまま彼女へ飛びつき、抱きしめています…
…ボクの隣にいるアキトさんは、星野さんに優しく微笑んで拍手をしています…
…サブロウタさんは、飛びはしゃいで、喜んでますね…
…司会のジュンさん、何か言ってますが、無理でしょう。 この騒ぎでは…
…星野さんは嬉しさのあまり、動転しているみたいで、ユリカさんに抱きつかれたままだ…
…ふと、彼女の視線がこちらの方を向いて、表情がみえた…
…
瞳
に
涙
がみえる……
―――
?
―――
―――
あまり、喜んではいないような気が?
―――
…アキトさんはそんな星野さんに向かって、満面な笑顔で手を振っていたけど…
「
…………!
」
―――
彼女の表情が昔の自分と重なって見える ―――
――― ふと、ボクにはそんな気がした……
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