機 動 戦 艦 ナ デ シ コ

白 銀 の 機 械 神







第5話「家族の温もり」



トウキョウシティの某所
立ち並ぶビル群の一つ
高層マンションの一室


ベッドの上の布団がガサガサと動きムクッと起き上がる銀色の髪の少女
少しボ〜〜とした顔でキョロキュロと周りを見回して此方に気づく
「・・・・・・・あ・・・・・・おはよう御座います・・・・・ルリです。」

さて火星の後継者との戦いから3ヶ月経った現在、色々な事が起きましたのでそれの説明をしてくれ、
との事なのですがこんなの説明おばさんにでもさせればいいのに面倒です。



何処か某所の研究所
「ス〜ハ〜グ〜・・・・・はっ、説明、説明・・・・・ス〜ハ〜グ〜」
机に覆い被さる様に眠る説明おばさん、突然起き上がりキョロキュロと周りを見回しまた眠る。



仕方ないですね、誰も説明する人がいないので、私が説明します。
まずパイロットの皆さんから


スバル・リョーコ

ターミナルコロニー『アマテラス』にてエステバリス部隊『ライオンズ・シックル(獅子の大鎌)』の隊長をしていましたが、
火星の後継者によりアマテラスが自爆させられた為、次の配属先が決るまで部隊は長期休暇状態になったので、
火星での戦いに参加してもらいました。しかしその事が統合軍の上層部に知られ軍法会議に掛けられましたが、
ミスマル総司令とヤマモト大将の嘆願も有り、減棒処分だけで済みました。現在、月の統合軍基地にて訓練生の教官をしています。


アマノ・ヒカル

現在、数本の連載を抱える売れっ子漫画家として活躍しています。新しく始まったヒカルさんのマンガを読みましたが、
なぜか主人公とヒロインがカイトさんと私に似ている気がするのは気のせいでしょうか?


マキ・イズミ

バー『花目子』のママとして働いていたイズミさん、現在は、バー『花目子』は人に任せて、ヒバゴン捜索調査隊に参加して、
中国山地を登山中だそうです。・・・・・・・・・・・・・・・ヒバゴンって何ですか?


タカスギ・サブロウタ

現在もナデシコBの副長として働いています。最近、女性からの連絡が少なくなった代わりに隠れて何処かに連絡をしている様です。
何処に連絡しているかオモイカネに聞いたらリョーコさんと頻繁に連絡を取り合っているそうです。
本気でお付合いする気が有るなら応援したいと思います。


マキビ・ハリ

現在もナデシコBの副長補佐として働いています。ですが火星での戦いが終った頃は凄く様子が変でした。
最初は私の顔を見るなり、突然泣きながらブリッジから出て行き職場放棄したり、無断欠席したりと情緒不安定でしたが、
最近は落ち着きを取り戻し元のハーリー君に戻りました。なんでもサブロウタさんのお話では新しい恋を見つけたとか、
しかも相手はラピスらしいのですが、でもラピスは・・・・・・・・・この事はハーリー君には言わない方がいいですね。


ウリバタケ・セイヤ

今でも違法改造屋として仕事をしています。先日、カイトさんと二人で出産祝いを届けに行った時、奥さんが話してくれました。
最近は気に入らない仕事でも我慢して引き受けて、家にお金を入れているそうです。セイヤさんもセイヤさんなりに、
家族の事を心配して頑張っている様です。それと初めて赤ちゃんを抱かせてもらいましたがとても可愛かったです。
・・・・・・・・・・私も欲しいな(ぽっ)


イネス・フレサンジュ

現在、カイトさんの勤め先であるネルガルの研究所にて所長をしています。前にお弁当を届けに行った時、
エリナさんが居てカイトさんに愚痴を言っていました。何でもイネスさんが高額な機材や貴重な資材を勝手に発注して、
怪しい研究や実験をしているので、カイトさんに何とかしてくれと頼んでいました。まったくイネスさんにも困ったものです。
あとカイトさんをマッドな世界に誘うのは止めて欲しいです。


そしてミナトさんやメグミさんそしてホウメイガールズの皆さんは今迄通りに高校の教師や芸能界で活躍しています。


あと変わった事と言えば、アオイさんとユキナさんが本格的にお付き合いを始めて毎週末デートをしているとか、
火星の後継者に協力していた反ネルガル企業の株価が急落して、替わりにネルガルの株価が急上昇、
最盛期の株価まで戻ったとアカツキさんが喜んでいました。

皆さんこんな感じで平和になった世界を謳歌しています。・・・・・・・・・さてそれでは私たち『家族』のお話しをたいと思います。


あれは火星での戦いから一週間後のお話




軍所属の病院
重武装した兵士、約一個師団が包囲している。

VIP専用の病室

「うう〜〜〜〜〜〜暇だよ〜〜〜」


『トントン』


ノック音のした扉を見詰めて
「どうぞ、開いてますよ」


扉が開き二人の人物が入ってくる。

「ユリカさん、生きてますか?」

「カイトさん(汗)」


「ルリちゃんにカイト君、来てくれたんだ・・・・・・・遅いよ(ToT)」

「仕方ないですよ。まさか面会許可とるのに2日も掛かるなんて思ってもいませんでしたから」

「そうです。本当なら1週間以上も掛かるんですよ。それをミスマル総司令にお願いして書類審査を免除してもらったんです。」

「お父様と伯父様が病院の警備体制を強化したから・・・・・・まったく大丈夫なのに」

「あれは強化と言うより、占拠ではないでしょうか?」

「ルリ(汗)・・・・まあ、コウイチロウさん達もユリカさんの事を心配しているんですよ。」

「それは分かっているけど・・・・・・・・・カイト君、此処から逃げるの手伝って」

「嫌です。撃たれたくありません」

「そうです。カイトさんを巻き込まないで下さい。それに2年以上も身体を動かしていないんです。リハビリが終るまで我慢してください。」

「うう〜〜〜だけど・・・・・・早くアキトを探しに行きたいよ。」

「アキトさんを・・・・しかし何処にいるか分かりませんよ」

「それでも探しに行かないと・・・・・・今アキトは一人で苦しんでいると思うの、
だから早く行ってアキトを支えてあげないと、だってユリカはアキトの奥さんだもの」

「「ユリカさん」」

「・・・・・・・分かりました。僕がアキトさんを探しに行きます。」

「「カイト(君)(さん)」」

「だからユリカさんはリハビリに専念して待っていて下さい。」

「・・・・・・・うん・・・・・分かったよ。アキトの事、お願いね。」

「ええ、任せてください。どんな手を使ってでも、アキトさんを連れて帰ってきますから」
指をポキポキ鳴らしながらユリカに答えるカイト

「あ、あの・・・・・・カ、カイト君(汗)」

「大丈夫ですよ。ちゃんと手加減しますから、それじゃ1週間後のこの時間に戻ってきますので、待っていて下さい。」
ユリカに背を向けると目の前にルリが頬を膨らませて立っていた。

「え?・・・あの・・・・ルリなに怒っているの?」

「カイトさん、明日デートするって約束しましたよね。」

あっ!!・・・・・ごめん・・・・・でも・・・・」
チッラとユリカを見るカイト

「まあいいです。デートはいつでも出来ますし、アキトさんの為です今回は我慢します。」

「ごめん、ルリ、この埋め合わせはちゃんとするから」

「ええ、期待して待っていますね。」

「あとちょっと・・・・」
ルリを手招きするカイト

「何ですか?」
首を傾げながらカイトに近づくルリそしてルリの耳元で囁くカイト

しばらく一人寝だけど寂しくないよね?

一瞬にして顔を真っ赤にするルリ
「な、な、な、な、なにを言い出すんですか!!!」

「大丈夫?」

「当たり前です。カイトさんが居ない間、私は一人で・・・・・・・・・・兎に角、大丈夫です。早く行ってください。」

「なら良いけど・・・・それじゃ行って来ますね。」
ルリとユリカに手を振るカイトそしてカイトの周りにボソンの光が現れて一瞬で消える。

「まったく・・・・カイトさんの・・・・・・バカ
カイトの消えた場所を見詰めながら呟くルリ

「良いな、ルリちゃん、カイト君とラブラブで」
人差し指を口に咥えながら呟くユリカ

「ユリカさん、茶化さないで下さい。」
まだ頬を赤らめながら答えるルリ

「それでルリちゃん、カイト君さっき何て言ったの?」

「秘密です。話したくありません。」

「ええ〜〜ダメだよ、家族で隠し事しちゃ」

「家族でも話したくない事はあります。」

「ええ〜〜お願い教えて」

「いやです。」

「教えて」

「却下です。」

「教えて」

「拒否です。」

「教えて」

「重要機密です。」

「教えて」

「黙秘権を行使します。」

こんなやり取りが面会時間終了まで続いたとか




一週間後

ユリカの病室


「ア〜キト〜♪、ア〜キト〜♪、ア〜キ〜トが帰ってくる♪〜〜」

「ユリカさん楽しそうですね。」

「だってアキトが帰ってくるんだよ。それにルリちゃんだってカイト君が帰ってくるんだから嬉しいよね。」

「えっ!?・・・は、はい、嬉しいです。」
頬を赤らめて俯くルリ

「それにしてもカイト君、遅い、遅すぎるよ。」
ユリカが壁掛け時計を見ると約束の時間から2時間が過ぎていた

「変ですね。カイトさんが約束に遅れるなんて・・・・私、外を見てきます。」
ルリが病室を出ようと扉の傍まで来ると、突然、後ろから強烈な光に照らされ、慌てて振り返ると其処には

「到〜〜着、よし!座標もピッタリ」
辺りを見回し、『うんうん』と頷くカイト

「突然現れないで下さい。驚くじゃないですか」

「ごめん、ごめん」

「カイトさん遅かったですね。」

「ちょっと説得にてまどってね。」

「それじゃ・・・・」

「アキト!!カイト君、アキトは何処?」
辺りを見回すユリカ

「アキトさんならちゃんと此処に居ますよ。」
『此処、此処』と自分の足元を指差すカイト

「「えっ??」」
ユリカとルリがカイトの指差す先を目で追って行くと其処には






































死     体     袋

































「「・・・・・・・」」

「ん?・・・如何したの?」

「カ、カイト君、ア、アキトは何処」
見なかった事にして周りをキョロキョロ見回すユリカ

「カ、カ、カイトさん、そ、その袋ってまさか・・・」
焦るルリ

「これ?死体袋だよ」
また足元の死体袋を指差すカイト

「アキト!!」
ベッドから飛び降り死体袋の傍に行こうとするユリカしかしまだ身体が思い道理に動かずバランスを崩す。
それを受け止めるカイト

「ユリカさん!あまり無理しないで下さい。」
ユリカを受け止め死体袋の傍に座らせる。

「カイト君、カイト君・・・・これどう言う事・・・・」

「空けてみれば分かります。」

「え?・・・・うん、分かった。」
死体袋を見詰め恐る恐るジッパーを下げると

「ウウ、グゴ、グウ、ゴオ」
口に猿ぐつわをくわえ、全身を拘束具で雁字搦めにされ、身動き一つ出来ない黒い王子様が現れた。

「ア、アキト!!」
黒い王子様に抱きつくユリカ

「グ、グリガ!?」
突然の最愛の女性の登場に驚くアキト

「酷いよ、アキト、グリガじゃないよ、ユリカだよ。」
少し涙目になるユリカ

「ユリカさん、ユリカさん、猿ぐつわですよ」

「え?・・・あっそうか」
カイトに注意されて、アキトの猿ぐつわと拘束具を外すユリカ

「ゲホゲホ・・・カイト、お前なんて事をするんだ」

「僕が帰ってくるように説得しているのにアキトさんが無視するから強硬手段に出たんじゃないですか、
それにユリカさんにはちゃんと自分の考えを話すのが筋でしょう。」
カイトの言葉に考え込むアキトそして心配そうに見詰めるユリカ

「アキト」
心配そうに話しかけるユリカ

「ユリカ・・・・・俺はもうお前と一緒に暮らせない」

「如何して?如何してなの、アキト」
涙目になりながら質問するユリカ

「俺は人殺しだ・・・・・ユリカ、俺の手は血で真っ赤だ、こんな手でお前を抱き締め事も幸せにする事も出来ない。」

「知っているよ。アキト、イネスさんやお父様・・・・皆に聞いたよ・・・・・私の為に・・・・・したんだよね・・・・なら私も・・・・・同罪だよ」
大粒の涙を流しながら話すユリカ

「全て俺がした事だ、お前には関係ない。」
ユリカを突き放すアキト

「関係なくないもの!!」
泣きながらアキトに抱きつくユリカ

「ユ、ユリカ」

「私たち・・・夫婦なんだよ・・・お互いに・・・・支え合って・・・・生きていくって・・・約束したじゃない。」
アキトの胸に顔を埋め泣きながら話すユリカ

「ユリカ・・・・・・俺の罪はとても深い並大抵の償いじゃ・・・・」
ユリカを抱き締め様とするアキトしかし途中で止め、拳を握る。余りに強く握り過ぎ、拳から血が流れる。

「なら生きて下さい。」

「「カイト(君)!?」」
カイトを見るアキトとユリカ

「生きて、生きて、生き抜いて、ユリカさんを幸せにして下さい。それがアキトさんに出来る唯一つの償いです。」
カイトの言葉に驚き、考え込むアキト

「カイト君の言う通りだよ。アキト、二人で罪を償いながら生きていこう。」

「ユリカ・・・・・・しかし俺の身体はもう・・・・」
自分の手の平を見詰めるアキト、爪が皮膚を切り裂き血が流れるが、全く痛みを感じない。
現在のアキトの身体はさらに悪化し、今ではラピスのサポートが有っても味覚は元より嗅覚、触覚は完全に麻痺し、
視覚も片目が失明している。そして聴覚だけは、まともに機能している。

「大丈夫ですよ。アキトさん」

「カイト?」
カイトを見るアキト

「イネスさんから、アキトさんのカルテを見せて貰いました。大丈夫です十分に治療が可能です。
僕に任せて下さい。必ず元の身体に戻してみせますから」

「ほ、本当か!?カイト」「本当なの!?カイト君」

「ええ、本当です。」

「ユリカ」「アキト」
お互いに見詰め合いギュッと抱き締め合うアキトとユリカ

「ア、アキト・・・い、痛いよ。」

「すまん、大丈夫か、ユリカ」
触覚が麻痺しているので力加減が分からないアキト、慌てて手を離す。

「大丈夫だよ。だから優しく・・・・」

「このぐらいか?」
恐る恐るユリカを抱き締めるアキト

「・・・・・・・うん、それでいい」
嬉しそうにアキトの胸に顔を埋めるユリカ

(アキトさん、ユリカさん良かったですね)「・・・・ん?」
抱き合う二人を見て微笑むカイトしかし変な視線に気づき其方を見ると何故かルリが睨んでいた。

「・・・・・・・ルリ、どうしたの?・・・・・さっきから黙っているし、怖い顔までして」
カイトの言葉にアキトとユリカも抱き合うのを止めてルリを見る。

「え?!・・・いいえ・・・その・・・」
皆の視線に少し慌てるルリ

「まさかアキトさんが帰ってきて嬉しくないの?」

「そんな事無いです!!アキトさんが帰ってきて、とても嬉しいです。
・・・ただ・・・とても・・・とても気になる事があるんです。」

「何が気になるんだい。ルリちゃん」

「何でもユリカが相談に乗るよ。ルリちゃん」

「僕だってルリの為なら何だってするよ」

皆の優しさが嬉しくて頬を赤くするルリ
「・・・・有難う御座います。それでは・・・・カイトさん」

「なに?」

「カイトさん・・・・・・その子、誰ですか?」
カイトの腰の辺りを指差すルリそしてユリカとアキトの視線も其処に行く。

「え?!・・・ああ、この子は・・・」
カイトの腰にしがみ付くピンク色の髪の少女、カイトが優しく頭を撫でると気持ち良さそうに目を細め頬ずりをする

「カイト〜♪」

「「「・・・・・・」」」
(カイト、お前って奴は・・・・・)
(わ〜〜〜可愛い・・・あれ・・・この子、もしかして・・・)
(貴方は誰ですか!?さっきからカイトさんに抱き付いて、離れなさい!!カイトさんに抱き付いたり、
撫でられたり、頬ずりしたり、していいのは私だけです。・・・・・・・・・・・・あれ?・・・金色の瞳?・・・まさか・・・・)

「ほら皆に挨拶して、練習したろう」
カイトに背中を押されて皆の前に出る少女

少し緊張しながらも
「は、初めまして・・・・ラ、ラピス・・・ラピス・ラズリ・・・です。」
自己紹介を終えるとすぐにカイトの後ろに隠れる。

「ラピス!?貴方がラピスですか」
ラピスに近づくルリ

少し怯えカイトにしがみ付くラピス
「大丈夫だよ。ラピスちゃん」

ラピスと同じ目線まで身体を屈めるルリ
「私はルリ、ホシノ・ルリです。火星でお話しましたよね。」
微笑みながら右手を差し出す。

「ルリ?・・・うん・・・お話した。」
恐る恐る右手を出すラピス

そしてラピスの手を優しく握るルリ
「あの時は、あまりお話が出来ませんでしたね。だから後でゆっくりお話しましょう。」

「・・・うん・・・分かった」
頷くラピス

「それにね。ラピスちゃん、ルリはラピスちゃんのお姉さんなんだよ。」
ラピスの肩に手を置くカイト

「お姉さん?」
カイトを見て、そしてルリを見詰めるラピス

「え?・・・あの・・・カイトさん」
突然、お姉さんと言われ焦るルリそしてカイトを見ると

ただ優しく、ルリを見詰めていた。

「お姉さん?」

「・・・・・」
カイトの言った言葉の意味を考えるルリ

「お姉・・・さん?」
何も言わないルリを見て次第に不安そうな顔をするラピス

カイトがラピスを自分たちの家族の一員として迎え入れ様としている
そう考えたルリは
「はい、私は貴方の姉です。」

「お姉さん!」
不安そうな顔が一瞬で嬉しそう顔になり、ルリに抱き付く。

「ラピス!?」
突然、抱き付かれ、驚くルリ

「お姉さん〜♪」
ルリの胸に頬ずりをするラピス

「ラピス」
自分の事をこんなにも慕ってくれるラピスを愛おしく思い。ギュッと抱き締める。

「お姉さん」
ラピスもルリにギュッと抱き付く。

「ラピス、私の事はルリでいいですよ。」

「うん、ルリ〜♪」

「ラピスちゃん、お姉さんが出来てよかったね。」
ラピスの頭を優しく撫でるカイト

「うん〜♪」
嬉しそうに微笑むラピス

「可愛い〜〜♪」

「「「ユリカ((さん))」」」

「ラピスちゃん、ラピスちゃんこっちにおいで」
ラピスを手招きするユリカ

カイトとルリを見上げるラピス、ラピスの視線に気づき微笑みながら頷くカイトとルリ

そしてゆっくりユリカに近づくラピス

「キャ」
突然、かわいい悲鳴が響く

ユリカに抱き締められて慌てるラピス、次第に落ち着きを取戻し黙って抱かれる。

「ありがとうね。ラピスちゃん、今までアキトを支えてくれて」

「・・・お仕事・・・だから」

「それでもありがとう。ラピスちゃん」
優しくラピスの頭を撫でるユリカそして次第に気持ち良さそうに目を瞑るラピス

「イネスさんに聞いたんだけど、ラピスちゃんには両親がいないんだよね?」

「ユリカ!!お前、何て事を・・・」

「ユリカさん!!それは余りに酷い・・・」

「・・・」

嬉しそうにしていた顔が一瞬で暗い顔になるラピス
「う、うん・・・・いない」

「それじゃ、私がラピスちゃんのお母さんになる。」

「え?・・・お母さん?」
目を大きく開きユリカを見上げるラピス

「ユリカ、お前、本気で言っているのか?」
ユリカの目を見詰めるアキト

「うん、本気だよ。アキト」
そしてユリカもアキトの目を見詰める

「はぁ〜、本気の様だな、でもどうして・・・」

「私ね。ラピスちゃんの事を聞いた時からずっと考えていたの、この子はとても辛い事や苦しい事を体験してきたのに、
私の変わりにずっとアキトを支えてくれた。だから今度は私がこの子の支えになりたいと思ったの」

「ユリカ」

「ユリカさん」

「ユリカさん・・・でもそれを決めるのはラピスちゃんですよ」

「え?・・・・・うん、そうだね。カイト君」
ユリカの手がラピスのピンクの髪にそっと触れ、優しく撫でる

「ん〜〜♪」
気持ち良さそうに目を瞑るラピス

「ラピスちゃん、私、ラピスちゃんのお母さんになってもいいかな?」
撫でるのを止めラピスを見詰めるユリカ、ユリカを見上げるラピスそしてアキト、ルリ、カイトを見回す。三人とも頷いている。

「ダメ・・・・かな?」
残念そうな顔をするユリカ

ユリカを見上げるラピスそして
「お母さん」

「え!?・・・・・今・・・何って・・・」
目を大きく開きラピスを見るユリカ

「お母さん・・・・・お母さん!!」
ユリカにしがみ付くラピス、まるでもう絶対に離さない。そんな意思さえ感じる。

「ラピスちゃん、ありがとう」
ラピスをギュッと抱き締めるユリカ

「お母さん・・・私・・・変」

「如何したの?ラピスちゃん」

「嬉しいのに、とても嬉しいのに涙が出てる。病気かな?」

「・・・ラピスちゃん」
優しくラピスの頭を撫でるユリカ

「お母さん?」

「ラピスちゃん、人はね、嬉しい時にも涙は出るんだよ。だからそれは嬉し涙だよ。」

「嬉し涙?・・・・お母さん」
ユリカの胸に顔を埋めるラピス、涙でユリカの服が濡れていく。

「ラピス」
ラピスの頭を撫でるアキトしかし撫でると言うより頭を鷲掴みにしてガクガク振っている状態

「アキト!!それじゃラピスちゃんが痛がるよ」

「すまん。ラピス、大丈夫か?」
慌てて頭から手を離すアキト

「うん、大丈夫、アキ・・・・・・お・・・・お父さん」
頬を赤らめながら答えるラピス

「「ラピス(ちゃん)」」
アキトとユリカに見詰められるラピス

「ラピス・・・本当に・・・本当に俺がお父さんになっても良いのか?」

「うん、アキトにお父さんになって欲しい。」
頬だけでなく耳まで真っ赤にさせて答えるラピス

「そうか・・・・これからもよろしく、ラピス」

「よろしくね、ラピスちゃん」
アキトとユリカに左右から抱き締められ、嬉しそうに目を瞑るラピス
ラピスにとって生まれて初めて、両親の温もりを知った日になった。




それから暫くして、ラピスはラピス・ラズリ改めテンカワ・ラピスとして正式にアキトさんとユリカさんの養女になりました。
そしてアキトさんの身体もカイトさんの治療により一週間ほどで完治しました。
イネスさん曰く『信じられないは、一体どんな治療をしたら、あの病状を完治させる事が出来るの』だそうです。
それからアキトさんは料理人として再出発する為、ホウメイさんのお店で約二ヶ月間の特訓を受けて、
料理人としての舌と腕を取り戻し、遂に念願のテンカワ食堂の開店にまで漕ぎ着けたのでした。

(またアキトさんのラーメンが食べれる・・・・・あっ、レシピ返さなきゃ、何処にしまったかな?)
腕組をして考え込むルリ

『ガサガサ』

「え?」
ルリの後ろで物音がして振り返ろうとしたその時

後ろから抱き締められ、そのままベッドに押し倒されるルリ
「え!?ちょっと・・・キャ」
首筋にキスをされて驚くルリそして身体を180度回転させてキスをした人物を見る。

「おはよう、ルリ」

「おはよう御座います、カイトさん、それと行き成りキスしないで下さい。ビックリするじゃないですか」
頬を赤らめ、カイトの胸にしがみ付くルリ

「ごめん、なんか寝惚けてぶつぶつ言っているから起こそうとしたんだ」

「えっ・・・・いいえ、あれは寝惚けていた訳ではなく、これまでに起きた事を話していたんです。」

「話すって・・・・・誰に?」

「誰って・・・・・誰でしょう?」

「ルリ・・・・・ごめん、まだ昨日の夜の疲れが取れていないんだね。」

カイトの言葉に顔を真っ赤にするルリ
「い、い、い、いいえ、そんな事は」

「え?大丈夫なの?」

「はい、私は至って元気です。」

「それじゃ・・・どうして・・・・あ!そうか・・・」
ルリをギュッと抱き締めるカイト

「あ、あのカイトさん?」
抱き締められて頬を赤く染めるルリ

「ごめん、昨日の愛し方が足りなかったんだね。それじゃ、つづきをしようか?」

「いいえ!!そんな・・・・ん!?・・・・ちょ、ちょっと待って下さい。」
唇をカイトの唇で塞がれて慌てて唇を離すルリ

「なに?」

「カイトさん、今はダメです。もう朝ですし、それにアキトさんのお店の開店祝いの準備を手伝う約束があります。だから・・・・」

「それなら大丈夫、僕はルリと愛し合うのに朝だろうと夜だろうと気にしないよ。
それに約束は11時からで、今は7時だからゆっくり出来るよ。それに遅くなったらジャンプすれば大丈夫だよ。」

「そ、そ、そう言う問題ではなく」

「え?・・・もしかして僕の事、嫌いになった?」
凄く暗い表情をするカイト

「そ、そんな顔しないで下さい。わ、私だってカイトさんに・・・・もっと愛して欲しいです。

「え!?いまなんて・・・・」

「だから・・・・・愛して・・・・・下さい。」

「ルリ!!」
満面の笑みを浮かべるカイトそしてルリをギュッと抱き締める

「ルリ、愛しているよ。」
耳元に囁くカイト

「私も、カイトさんを愛しています。」
カイトの胸に顔を埋めて呟くルリ

そして布団を掴みルリを抱き締めたまま頭まで被るカイト

「ちょっと・・・・もう・・・・カイトさんの・・・・・バカ




え〜〜とですね。つまり私とカイトさんは火星での戦いが終って直に同棲生活を始めました。
そして、失ってしまった3年間を取り戻すが如く、お互いに深く愛し合っています。





後書き

三千世界:今回も私の愚作の作品を読んでいただき、ありがとう御座います。
今回はラピスちゃんを家族の一員に加えるお話にしてみました。
やはり、ラピスちゃんにも幸せになってほしいですから
それにしても設定に無い事を書くのって大変です。

ルリ:当たり前です。何を言っているんですか、他の作家さんを見習いなさい。
全て作家さんは私とカイトさんの愛の物語を書く為だけに生きているのです。

三千世界:あ、あの、それは言い過ぎでは(滝汗)・・・・それにナデシコSSを全体的に見て、カイト×ルリ物って少ないような気が・・・・・

ルリ:だった貴方が書いて、書いて、書きまくって、ナデシコSSをカイト×ルリで覆いつくすのです。さあ馬車馬の如く働きなさい。

三千世界:そ、そ、そんな無理です。不可能です。

ルリ:私に逆らうのですか?
何処からか取り出した拳銃を突きつける

三千世界:ど、ど、ど、どうして拳銃なんか持っているの!?

ルリ:私も軍人の端くれです。拳銃の一丁や二丁ぐらい携帯しています。さあ、早く書きなさい。

三千世界:そ、そんな・・・


「お〜〜い、ルリちゃん〜〜」



三千世界・ルリ:カイト(君)(さん)
慌てて拳銃をしまうルリ

三千世界:(た、助かった)

カイト:ルリちゃん、こんな所に居たの、開店祝いパーティーが始まるよ。・・・あれ、三千世界さん

ルリ:カイトさん、先に行ってて下さい。私は三千世界さんと少しお話があります。

カイト:そうなの?それじゃ先に行って待っているね。
もと来た道を走っていくカイト

三千世界:カ、カイト君、行かないでーー
しかしカイトには聞こえなかった。

ルリ:三千世界さん

三千世界:は、はい!!

ルリ:今回は私に逆らった事は許してあげましょう。だからもっと私とカイトさんのラブラブな作品を書きなさい。

三千世界:はい、頑張ります。

ルリ:それでは、カイトさんが待っているので、私は失礼します。
カイトの後を追うルリ

『カチカチカチ』

三千世界:た、助かった。それにしてもルリちゃんって、あんなに怖いんだ、カイト君も大変な人を好きになったものだ

『カチカチカチ』

三千世界:おっと、そろそろ次回作を紹介しないと・・・次回作はテンカワ食堂の開店祝いパーティーから始まります。
そこでカイト君とルリちゃんから重大発表があるとか・・・一体、何でしょう。

『カチカチカチ』

三千世界:なに?さっきからカチカチと五月蝿い・・・足元?
足元を見る三千世界、其処には

C4と書かれた物体そしてタイマーが付いていて『00:00:02』と表示してある。

三千世界:う、うそ(滝汗滝汗ナイアガラ級)




ドガーーン


カイト:ん?爆発音?

ルリ:気のせいですよ(私が本当に許すと思ったんですか?バカですね。)

カイト:そうかな?

ルリ:それより皆さんにお別れの挨拶をしないと

カイト:僕たちがするの?

ルリ:はい、三千世界さんは忙しいので変わりに挨拶してくれと頼まれました。

カイト:そうなの、それじゃ・・・

カイト・ルリ:皆さん次回作を楽しみに待っていて下さい。それでは、さようなら


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