機 動 戦 艦 ナ デ シ コ

白 銀 の 機 械 神




第4話「一つに」



火星極冠遺跡「イワト」制御室


まぶたがピクッと動きゆっくりと開く。

ユリカの事を心配そうに見ているナデシコクルー

「あれ?みんな?・・・・・・・・みんな、老けたね。」

「「「「「フ〜〜〜〜〜」」」」」

「よかった。いつものボケだ!」

「私、ずっと夢見てた・・・・・・・アキト・・・・・・・アキトはどこ?」
辺りを見回すユリカ



遺跡を遠く離れた氷原

上昇するユーチャリス、ボソンの光に包まれ、ジャンプする。

「さよ〜〜なら〜〜って本当に行かせてよかったの?」

「行くってもんを無理に引き止めらんねえよ」

「でも・・・・・これからどうするんだよ、あいつ」



「イワト」制御室

「帰って来ますよ」
一人離れて立つルリ

「帰ってこなかったら、追っかけるまでです。」

「ルリルリ・・・・・」

「だってあの人は・・・・・あの人は大切な家族だから!」
振り返りながら微笑むルリ

「ルリちゃん、ちょっと来て」
ルリを手招きするユリカ

「何ですか?・・・・・・・・・・・きゃっ」
ルリを抱き締めるユリカ

「ユ、ユリカさん」

「ごめんね。ルリちゃん、よく分かんないけど、私とアキトの事で悲しい思いをさせて」

「そんな、私はもう大丈夫です。それにカイトさんが帰ってきたんです。」

「え!カイトくん、帰ってきたの・・・・・・良かったね。ルリちゃん」

「はい、それより早く医療室に行きましょう。遺跡と融合していたんです。精密検査が必要です。」

「うん、分かったよ。ルリちゃん」
担架に乗せられるユリカそしてルリ達が演算ユニットから離れたとたん、演算ユニットが光り出し元の立方体に戻る。次第に光が強くなっていく。

「何が起きているのでしょうか?イネスさん」

「分からないわ、あれはブラックボックスの塊なんだから」

「おや、フレサンジュ博士でも分かりませんか?」

突然の声に振り向くルリ達、物陰より現れる人物

「あなたはヤマサキ博士!」

「フレサンジュ博士が私の名前を知っているとは光栄ですな、しかし御高名な博士でも分からない事があるんですな」

「あら・・・・・・でしたらヤマサキ博士には分かるのかしら」
イネスのこめかみがピクピクと動く

「ええ、分かりますとも、なにせ私が仕掛けた罠ですから」

「罠!何をしたんですか?ヤマサキ博士」

「人間翻訳機としてテンカワ・ユリカを融合させた時に、演算ユニットに特殊機能がある事が分かったのです。」

「その機能とは?」

「この火星を相転移させ消滅させる機能です。」

「「「「「なに!!」」」」」

「ま、まさかあなた・・・・・」

「ええ、ミスマル・ユリカを切り離したら作動する様にしました。」

「なぜ?そんな事をしたんですか?」

「ホシノ少佐、君には分かるまい。私は科学者なのだ、このクーデターが失敗したら投獄されて研究ができなくなってしまう。そんな事、私には耐えられない。ならばいっそ死んだ方がましだ!」

「だから、全てを道連れに死ぬと」

「そうだ!!」

「あなたは、狂っている。そんな事は止めなさい。」

「もう無理だ、誰にも止められない。」

「「「「そんな!!!」」」」

「イネスさん、何とかなりませんか?」

「無理よ、時間も無さそうだし、どこから手を付ければいいかも分からないのよ」

「艦長!!早く逃げましょう」

「ハーリー君、それは無理です。どうやらもう間に合いそうもありません」

「そんな!」
頭を抱えてパニックになるハーリー

「イネスさん、また私が融合したらどうかな?」

「ユリカさん!何を言い出すんですか」

「テンカワ・ユリカそんな事をしても無駄よ」

「はははははは、無駄だ、無駄だ、もう終わりだ、ははは?な、何をする・・・・・うわーー」
ウリバタケ率いる整備班に袋叩きに遭うヤマサキ


突然、室内にボソンの光が現れて舞い降りるデウス・エクス・マキナ、着陸と同時にハッチが開き飛び降りるカイト
「ルリちゃん!」

「カイトさん、大変です。火星が消えてしまいます。」
カイトに駆け寄るルリ

「ルリちゃん、一体何したの?」

「いいえ、私達ではなく、あのバカです。」
ルリが指差す方を見るカイト、そこには、簀巻き状態にされた男が整備班の皆さんにゴロゴロと転がされている。

「グオーー、た、たすけて」


「・・・・・・・・・・よりによって、相転移兵器を作動させるなんて」

「相転移兵器!?カイトさん、それじゃ本当に・・・・・」

「そう、このままじゃ本当に火星が消えてしまうよ」
カイトの言葉にさらにパニックになるナデシコクルー

「カイトさん、何とかなりませんか?」

少し考えるカイトそして
「・・・・・・・・ルナ」

カイトの前に現れるウィンドウ
『はい、マスター』

「僕のIDまだ使えるか?」

『はい、大丈夫です。博士が何か遭った時に使えるようにと許可を取っていましたから』

「そうか、本当にあの人には、頭が上がらないな」
演算ユニットに駆け寄り、ユニットに片手を付くカイト
「アクセス」

突然、ユニットから声が聞こえる。
『所属、階級、氏名をどうぞ』

「銀河連合軍、銀河外周方面艦隊所属、特務監査官、大佐、ミカヅチ・カイト」

演算ユニットの一部から可視光の光線が照射され、カイトの体を貫く。

「カイトさん!!」
カイトに駆け寄るルリ、それを片手を上げて静止させるカイト、

「大丈夫だから心配しないでルリちゃん」

カイトの体を貫く光が次第に広がり身体全体を照らして消える。

『DNAパターン、アストラルパターン、クリアされました。パスワードをどうぞ』

「β654、Ω852、α963、γ123」

『パスワード確認、ご命令をどうぞ、大佐』

「現在、進行中の相転移兵器の起動プロセスを停止し、通常モードに移行せよ」

『了解、相転移兵器、起動停止、通常モードに移行します』
光り輝いていた演算ユニットの光が徐々に弱まり、元の姿に戻る。

「あと、相転移兵器にSSSプロテクトを掛けろ、以上だ」

『了解しました。』

「フー、間に合ったか」
振り返るカイト、そこには心配そうな顔をしたルリが立っている。

「カイトさん」

「もう大丈夫だよ、それと・・・・・・ただいま、ルリちゃん」

「お帰りなさい。カイトさん」
駆け寄り、カイトに抱き付くルリ

「ルリちゃん」
カイトも片手でルリを抱き締め、もう一方の手でルリの頭を撫でる。
気持ち良さそうに目を瞑るルリ、そしてカイトの胸に顔を埋める。

((もう、絶対にこの温もりを離さない。))



「ルリルリもカイト君も本当にラブラブなんだから」

「あ〜あ、いいな、ルリ・・・・・・ジロ〜〜」

「な、なにユキナちゃん」

「いいな、ルリちゃん、アキトは何処に行ったの?」

「うう〜〜、艦長〜〜、うう〜〜」



「「・・・・・・」」
離れる二人、顔が赤い

「ええっと・・・・・その・・・・皆さん、お久しぶりです。ミカヅチ・カイト、ただいま戻りました。」

「「「「「お帰りカイト(君)」」」」」

「カイト、ちょっと来い」

「なんですか?セイヤさん」
ウリバタケに呼ばれるカイト、近づくと、いきなりヘットロックをかけられて頭を拳骨でグリグリされる。

「い、痛いです!!止めて下さい!!」

「この、ルリルリがどれだけ辛い思いをしたか、お前、分かっているのか!」

「うっ・・・・・・それは・・・・・その・・・・」

「セイヤさん、もういいですから止めて下さい。」
ウリバタケを止めるルリ

「しかしだな・・・・・・・・カイト、ルリルリに感謝するんだぞ」
ヘットロックを外し、カイトの背中を平手打ちする。

「くっ・・・・・痛い」

「大丈夫ですか?」

「大丈夫だよ、ルリちゃん」

「カイトさん、セイヤさんの事、怒らないで下さい。悪気があってやった訳じゃ・・・・・・」

「分かってるよ、セイヤさんはルリちゃんの事を心配しているだけだから、それに・・・・・・・ごめんね。君に辛い思いをさせて・・・・・」
ルリの頬を撫でるカイト、頬に触れるカイトの手に自分の手を重ねて気持ち良さそうに目を瞑るルリ

「カイトさん」
目を開きカイトに抱き付くルリ

「ルリちゃん」
カイトもルリの背中に腕をまわす。



「やれやれ、またか」

「ほんと、イチャイチャするなら、他でやってほしいよ」

「ルリルリも大胆になったわね」

「ぐうぇ〜〜、がん〜ぢょう〜〜、ぐうぇ〜〜」



「「・・・・・・」」
離れる二人そして同時に

「「ごめんなさい。」」

「「「「「分かれば、よろしい。」」」」」
笑い合うナデシコの皆、ルリとカイトも笑っている。そんな中

『マスター』

「どうした、ルナ」

『マスター、この人、何とかして下さい。』

「え?」
デウス・エクス・マキナを見ると、そこには一人の男が

「すごい、すごい、すごすぎる。なんだ、この機体は!!見た事無い技術の塊だ!!繋ぎ目が無いぞ!!どうやってバラすんだ?」
デウス・エクス・マキナに纏わり付くウリバタケ

「セ、セイヤさん、なにをやっているんですか?」

「おお、カイト、これどうやってバラすんだ」

「なぜ、分解すんですか?」

「決っているだろうが、俺の趣味だ!!!

「・・・・・・・ルナ、装甲に電流を流せ」

『了解』

「お肌もすべすべだ〜〜・・・・グォーーー
装甲に頬ずりしていたウリバタケ、突然、倒れて、ピクピクと動いている。

「カイトさん・・・・・・・やりすぎです。・・・・・・もしかして根に持ってます?」

「・・・・・・・・だ、大丈夫だよ気絶しただけだから」

『マスター、もう一度やりますか?』

「いや、もういいよ、ルナ」

『そうですか・・・・・・・・マスター、ゲートにボソン反応です。』

「なに?」

「カイトさん、ゲートってなんですか?」

「チューリップの事だよ」

そしてルリの前にウィンドウが開き、統合軍の制服を着た男が映っている。

『私は、統合軍第8艦隊、総指令、ヤマモト・イソロク大将である。君がホシノ・ルリ少佐かね?』

「はい、宇宙軍第4艦隊所属ナデシコC艦長ホシノ・ルリ少佐です。」
ビシッと姿勢を正し、敬礼するルリ

『うむ、ホシノ少佐、あとは我々統合軍に任せて、早くユリカを連れて行きたまえ』

「え?どうしてユリカさんの事を・・・・・」
皆の視線が一斉にユリカを見る。

「え?・・・・・・私?」
自分で自分を指差すユリカそしてヤマモトの顔をジィ〜と見る

「・・・・・あ、ヤマモトの伯父様」

「知り合いですか?ユリカさん」

「うん、亡くなったお母様のお兄様」

『つまり、伯父と姪の関係だ、全てコウイチロウから聞いている。・・・・・・・ユリカ、生きていてくれて嬉しいぞ』
ヤマモトの目に涙が光る

「伯父様」

『さあ、早く行きたまえ、他の艦隊が着たら後々面倒だ』

「分かりました。あとの事、よろしくお願いします。」

『うむ』
そしてヤマモトのウィンドウが消える。

「さあ、皆さん撤収しましょう。」

「「「「「了解」」」」」

「ルリちゃん、セイヤさんを連れて行ってあげて」

「え?・・・・・・あ、分かりました。整備班の皆さん、セイヤさんを連れて行ってあげて下さい。」
いまだに気絶しているウリバタケ、整備班に脇を抱えられて、連れて行かれる。

「カイトさん、ナデシコで待っていますね」

「うん、それじゃ、ナデシコで」
そう言うとデウス・エクス・マキナに乗り込むカイト、そしてボソンの光が機体を包んで一瞬で消える。

そして簀巻き状態のヤマサキを残して誰も居なくなる
「お〜〜い、誰か助けてくれ〜〜、解いてくれ〜〜」







さて、ナデシコCに戻ってきた私たちは、カイトさんの機体デウス・エクス・マキナの力で一気に月にボソンジャンプして、現在、ネルガルドックにて損傷箇所の整備中です。そして私たちは今・・・・・・


ネルガル系列のホテルの宴会場

演台の立ってマイクに向かって話すルリ
「飲み物は受取りましたか?・・・・・・・・それでは、皆さん、お疲れ様でした。ささやかですが、戦勝パーティーをしたいと思います。ちなみに支払いは全てネルガルさんが払うので、気にせずに高いのをどんどん頼んじゃって下さい。・・・・・・・・・今回の勝利は皆さんの協力のおかげです。ありがとうございました。・・・・・・それでは、乾杯」

「「「「「「乾杯」」」」」」

ビールやシャンパンを掛けをはじめる整備班
「「「「おりゃーーーー」」」」

そして

「「「「ぐおーーー目に染みる」」」」
目を両手で覆い悶え苦しむ整備班

「・・・・・・・慣れない事をするから」

「やれやれ、困った人たちだ」

「まあ、今日ぐらい良いじゃない」

「ウェイターさん、タオルを持ってきてあげて下さい」

そして各々パーティーを楽しむナデシコクルー


「中尉、これ美味しっすよ」

「サブ、あっちに行け」

「サブちゃん、まめだね。」

「リョーコとサブの砂糖漬け・・・・・オエ」

「お前等・・・・・別にオレとサブは・・・・・・・」

「中尉、顔が赤いっすよ」

「バカヤロー!酒のせいだ」



「ジュンちゃん、はい、あ〜〜ん」

「い、いいよ、自分で食べるよ」

「ダメ、私だってルリに負けていられないもの」

「ユキナちゃん」

「ジュン君、ユキナの事お願いね・・・・・うるうる」

「ミ、ミナトさん何を言い出すんですか、酔っていますね」

「そう言う事だから、はい、あ〜〜ん」

「・・・・・・・・・・もぐもぐ」



「ルリちゃん、これも美味しいよ」

「カイトさん、こっちも美味しいですよ」

「「あ〜〜〜ん」」

「「もぐもぐ・・・・・・・美味しい」」

((((おいおい、頼むよ。誰か止めてくれ))))

「・・・・・・・・・カイト君、ちょっといいかしら?」

「何ですか?イネスさん」

「少し聞きたい事があるの」

「ええ、良いですよ」
イネスと向き合うカイト、ルリはカイトの隣で話を聞いている。

「カイト君、あなた何者なの?」

「え?どう言う意味ですか?」

「あなたの事は、古代火星人の末裔と思ったのだけど、遺跡とのやり取りを聞いていたら違う様だし、それに銀河連合だったかしらそれは何?」

「確かに僕は古代火星人の子孫ではありません。あと銀河連合と言うのは、この銀河系の約3分の2の星系が加盟している組織です。」

「それで、カイト君は銀河連合でどんな事をしていたの?」

「特務監査官と言いまして、加盟国の軍事演習の立会いや星系間の紛争の仲裁、色々な事をします。」

「それじゃ4年前に現れたのも仕事で来たの?」

「ええ、そうです。移民船団の中継地点として使用するので事前説明の為に来たんですが、ボソンジャンプの失敗で記憶喪失になってしまいました。」

「それって・・・・やっぱり・・・・・・」

「ええ、演算ユニットを移動させた為、ジャンプアウト地点がズレそのショックで記憶喪失に・・・・・でもそのおかげでルリちゃんに出会えました。」
ルリを見詰めるカイトそしてルリの頭を撫でる。

「カイトさん」
気持ち良さそうに目を瞑り、そしてカイトに抱きつくルリ

「ルリちゃん」
優しくルリを抱き締めるカイト

「・・・・・・・・・あの、まだ話の途中なんだけどイチャイチャしないでもらえる。」

「「・・・・・はい」」
顔を赤らめて離れる二人

「まあいいわ、最後の質問・・・・どうして、演算ユニットに大規模破壊兵器が装備されているの?」

「ああ、あれですか、あれはですね・・・・・・あまり良い話じゃないですよ」

「それでも教えて欲しいわ」

「そうですか・・・・・それでは・・・・まず最初の質問の補足になりますが元々火星固有の種族いません」

「え?でも遺跡とか色々・・・・あ、カイトさん、植民地ですね」

「ん〜〜半分当たり、火星はね・・・・・・・・・・・元刑務所なんだよ。」

「「え?」」

「だから刑務所・・・・・・・惑星その物が巨大な刑務所なんだよ」

「ち、ちょっと待ってカイト君、だってあそこからは相転移エンジンやグラビティブラストなどの技術を発掘したのよ。どうして刑務所にそんな物があるの?」

「それは囚人の労働力を利用した工場が色々ありましたから」

「カイトさん、それでも変です。囚人に武器になる物を作らせるなんて暴動が起きます。」

「だから抑止力として演算ユニットに相転移兵器を搭載したんだよ。小規模の暴動なら駐屯している警備隊や木星のプラントからの援軍で鎮圧できるけど、惑星全体で暴動が起きたら鎮圧は不可能だから最後の手段として相転移兵器を使用するんだ、記録だと1万2千年前に刑務所は移転した様です。」

「どうして移転したんですか?」

「それは皆さんの為にですよ。」

「カイト君、それどう言う意味?」

「もし火星が相転移されて消滅したら惑星間の重力バランスが崩壊して、地球上の生物が絶滅する可能性が高いですから」

「確かに大規模な気象変動や地殻変動が起きて・・・・・・間違いなく絶滅するわ」

「ですから大急ぎで次の移転先を探したみたいです。・・・・・あの・・・・なんで皆さん集まっているんですか?」

「「え?」」
イネスとルリが周りを見回すと全員が集まって話を聞いていた。

「いや、なんか面白そうな話をしていたから」

「そうそう、3人でこそこそお話してズルイよ」

「カイト、もうあの兵器は起動しないのか?」

「ええ、もう起動しません。本当ならプロテクトが掛かっているので起動しないんですが、今回はプロテクトが旧式だったせいと人間と演算ユニットを融合させるという禁忌を犯した為に起動したんです。ですから絶対に起動しない様にSSSプロテクトを掛けましたから安心して下さい。」

「SSSプロテクトってなんですか?」

「最高レベルのプロテクトだよ。これを解除するには、プロテクトを掛けた本人と掛けた人物の階級以上の人物5人の合意が無いと解除できないんだよ」

「それってつまり・・・・・」

「そう僕の許可と銀河連合所属で大佐以上の人物5人の合意が必要なんだけど、この太陽系で銀河連合に所属しているのは、僕だけだからね。絶対に解除できない。・・・・・・・・・他に質問はありませんか?」

「「「「・・・・・・・・・・」」」」

「無ければ、折角のパーティーなんですから集まっていないで楽しみましょう。」

「そ、そうだな、野郎達向うで飲み直すぞ」

「「「「「おお〜〜〜」」」」」
整備班を連れて離れるウリバタケ



「中尉、それじゃ飲み直しっすね」
グラスを差し出すサブロウタ

「サブ、一人で飲んでろ」
サブロウタとは反対の方に歩き出すリョーコ

「待って下さいよ。中尉」
両手にグラスを持ってリョーコを追いかけるサブロウタ

「やれやれ、素直じゃないね」
肩を竦めるヒカルとイズミ、そして二人の後を追う。



「ジュンちゃん、行こうか」

「う、うん」
手を繋いでは離れて行くユキナとジュン

「やれやれ、ユキナとジュン君もラブラブになって・・・・・・・イネスさん、一緒に飲まない?」

「ええ、いいわよ」
そして離れて行くミナトとイネス



「皆さん、行っちゃいましたね。カイトさん」

「そうだね、しかしアオイさんにもやっと春が来たんだね。僕たちも負けられないね。ルリちゃん」

「はい、そうですね。」
そう言うとカイトの腕に抱き付くルリ

「ルリちゃん」
ルリの頭を撫でるカイトそして気持ち良さそうに目の瞑るルリ



それから数時間後

「グ〜うう、サブ、俺の酒が飲めないのか」


「グ〜、ガ〜、グ〜」

「うう〜、中尉、もう飲めないっすよ」


「もう少しで・・・・・原稿が出来るから・・・・・・・・・・ボツは嫌」


「ス〜、ハ〜、ス〜、」

「うう〜、艦長〜、グス」


「ダメだよ・・・・・・・サブは・・・・・・・馬だから」


殆どのクルーが酔い潰れてイビキを掻いたり寝言を言っている。

「やれやれ、皆さんだらしないですね。・・・・・・・・・・・って、誰だ、ルリちゃんにお酒飲ませたの」
自分の膝枕で眠る少女を見詰めるカイト

「ん〜〜、カイト〜さ〜ん」
カイトの膝にスリスリしながら眠るルリ

「はあ〜、こんな所で寝ていると風邪ひくよ。・・・・・・・・・・仕方ない部屋まで送っていくか」
ルリを起こさない様に抱きかかえ、お姫様抱っこで会場を後にする。




ホテルの一室

お姫様抱っこしながら部屋に入るカイト

「ええ〜と、スイッチ何処だ・・・・・・・・あった。」

照明が付き室内の状態に驚く
「・・・・・・・・・・なに?この部屋、僕の部屋より広い」

「それはロイヤルスイートですから」

「ルリちゃん!?・・・・・起こしちゃった?」

「いいえ、最初から起きていました。」

「え?それって・・・・・つまり・・・・」

「やっと二人きりになれましたね。」
カイトの首に腕を回すルリ

「ルリちゃん・・・・・・・・何時からそんなに積極的になったの?」

「酷い、こんなにもカイトさんの事を思っているのにカイトさんは違うんですね。」
凄く悲しそうさ顔でカイトを見るルリ

「そんな事無い。僕だってこの三年間、君の事だけを考えていたよ。」
真剣な顔でルリを見るカイト

「本当ですか?」

「本当だよ」

「本当に本当ですか?」

「本当に本当だよ!」

「本当に本当に本当ですか?」

「本当に本当に本当だよ!!」

「本当に本当に本当に本当ですか?」

「本当に本当に・・・・・・・だーーールリちゃんがその気なら僕だってもう我慢しないからね!」

「え?どうしたんで・・・ん〜」
何か言おうとしたルリの唇を自分の唇で塞ぐカイト、突然の事に驚き目を見開き固まるルリ、しかし直ぐに体の力を抜き目を閉じる

「・・・・・酷いです。いきなりキスするなんて・・・・」

「もう我慢しないって言ったよ。だから・・・・」

「だから?」

「君が欲しい」

「え!?そ、そ、そ、そ、それって・・・・・」
次第に顔が赤くなるルリ

「ルリちゃ・・・・いや・・・ルリ、君の心も体も全てが欲しいんだ」

「カ、カ、カイトさん・・・・・・わ、私・・・・・」
顔を真っ赤にするルリ

「ルリ」
ルリの唇を自分の唇で塞ぐカイト、さっきの様なただ触れ合うだけのキスではなく、深く激しくルリを求める様なキス

「ん〜〜〜〜、あ、ん〜〜〜〜、いや、ん〜〜〜〜〜、まって」

「何?」
唇を離すカイト

「・・・・・カイトさん・・・・・あの・・・・・私・・・・・初めてなんです。・・・・だから・・・・・・その・・・・・・・優しくして下さい。」
顔を真っ赤にして小声で言うルリ

「分かっているよ。ルリ」
微笑みながら答えるカイト

そしてルリをお姫様抱っこしながら寝室に消えて行くルリとカイト








この日、この夜、二人は本当の意味で一つになった。







後書き

三千世界:「こんにちは、今回も読んでいただき、ありがとう御座います。・・・・・・・チラッ」
チラッと後ろを振り返る三千世界

ルリ・カイト:「「・・・・・・・」」
顔を真っ赤にしている二人

三千世界:「・・・・・・え〜〜〜と・・・・それでは皆さん、さよう「「ちょっと待った」」

三千世界:「何か?」
振り返る三千世界

カイト:「何かじゃないです。いきなり終らせないで下さい。」

ルリ:「そうです。如何したんですか?いきなり・・・・」

三千世界:「いや〜〜なんか二人とも顔を真っ赤にして黙っているから言う事ないのかなと思って」

カイト:「いや、その、なんと言うか・・・・・ルリちゃんが言って」

ルリ:「嫌です。恥ずかしいです。カイトさんが言って下さい。」

カイト:「・・・・うん、分かった。・・・・・三千世界さん」

三千世界:「何?」

カイト:「つまり・・・・僕とルリちゃんは・・・・その・・・・・したんですか?」

三千世界:「したって何を?」

カイト:「いや・・・・だから・・・・・・あれです。」

三千世界:「あれって何?」

カイト:「・・・・・・・・・わざと言ってます?」

三千世界:「・・・・・・」

カイト:「それでどうなんですか?」

三千世界:「仕方ないですね。それではお答えしましょう。勿論、あんな事やこんな事、まさかそんな事まで、おいおい、カイト君それはちょっと
      やり過ぎだよ。ってルリちゃんまでなんて事を・・・・・・・・・みたいな事をしました。」

ルリ・カイト「「なっ!!」」
顔を真っ赤にして口を開けて固まってしまう。

三千世界:「お〜〜〜い、御二人さ〜〜〜ん、大丈夫?」
ルリとカイトの顔の前で手を振る三千世界

ルリ・カイト「「・・・・・・・・・・」」

三千世界:「・・・・・ダメです。完全にあっちの世界に行ってしまいました。・・・・・・さて次回作ですが後継者との戦いから3ヵ月後の話になります。
      その3ヶ月の間に色々な事が起きましたので、その事を書きたいと思います。それでは、皆さん、さようなら」



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