機 動 戦 艦 ナ デ シ コ

白 銀 の 機 械 神


第1話「旅立ち」





銀河中心部のとある惑星そこは数千の種族が加盟する銀河連合の首都星

首都郊外のとある施設




長い通路を二人の人物が歩く
一人は、ミカヅチ・カイト
もう一人は、真紅のような赤髪赤眼の少女

「お前が帰って来て、もう3年か」

「ええ、長い3年でした。まさか帰ってくるなり、辺境惑星で起きた紛争の鎮圧に送り込まれたり、新しく連合に加盟する種族の現地調査に駆り出されたり、本当に大変な3年間でした。」

「仕方ないわよ、1年近くも音信不通だったんだから、私が口利きしなかったら、軍法会議に掛けられて、2〜30年の牢屋暮らしなのよ、それを3年間の強制労働で済んだんだから、ありがたく思いなさい。」

「うっ・・・・・それはそうですけど」

「それで本当に仕事を辞めて、あんな辺境に行くのか?」

「はい」

「お前は、私にとって最高傑作だ、助手として此処に居てほしいのだが」

「すいません・・・でもここは自分の居場所じゃない。それに約束も有りますから」

「約束?」

「彼女に必ず帰ると約束しました。それに約束が無くても逢いたいです。」

「・・・もしかして、その子が好きなのか?」

顔を真っ赤にし俯きながら答える
「は・・・はい好きです。」

「・・・そうか、止めても強引に行く気だろう?」

「はい、すいません、博士」

「気にするな、お前は私の卵子を使って作った。つまり息子だ、お前が幸せならそれでいい。」

「ありがとうございます。」

「それより私のことは、ママと呼んで〜♪」

「・・・いや・・・それはちょっと勘弁して」

「なんで?」

「あなたの方が年下に見えますよ」
二人は立ち止まり向い合う。博士の身長は、カイトの胸の辺りまでしかなく、見ため12〜3歳の少女に見える。

「何を言っているのこれでも二万年以上、生きているのよ」

「言われてみれば、そうでしたね。は、はははは〜」
頬をかきながら困った顔をするカイト

「何よ子供扱いして」
子供扱いしたのが気に入らないのか、頬を膨らませながら歩きだす。



通路を歩くうちに正面に扉が見えてくる。
扉が開き中に入って行く二人、中は闇に包まれている。

「博士、此処は何ですか?」

「・・・」

「・・・博士?」
返事が無いのを不審に思い博士を見ると顔を背けて知らない振りをしている。まだ機嫌が悪いようだ

「はぁ〜・・・・・マ・・・マ・・ママ、此処は何ですか?」

「・・・ふふふふふふ〜♪もう一回言って〜♪」
満面の笑みで振り返る博士

「いやです。もう言いません。」

「ケチ、まいいわ、お前に渡したい物がある。」
照明が一斉に点き眩しさに顔を歪める


しだいに目が慣れてくる


そこは、白い壁の半球状の空間そして真ん中に白銀のロボット
ロボットの足元まで近づく二人

(エステバリス?・・・にしては、1回り大きいし、右手に持っているライフル、ラビットライフルにしては長い、レールガンかな?それに左腕に盾が付いている)
「・・・なんですかこれ」

「お前専用の機動兵器、デウス・エクス・マキナ」

「デウス・エクス・マキナ・・・・・・機械仕掛けの神、またすごい名前付けましたね。名前負けしなければいいですけど」

「いや、いずれはその名のとおりに、いいえ、それ以上の存在になる。」

「どうゆう意味ですか?」

「・・・」
デウス・エクス・マキナをただ黙って見詰める博士

「博士、どうしたんですか?黙ってしまって」

「何でもない・・・何でもないの気にしないで、それより武装について説明するわね。」
足元より現れたコンソールを操作し、ウィンドウを開き機体の説明が流れる。

「右手のライフルはグラビトンライフル、ブラックホールを弾丸にして撃ち出すの」

「ブラックホールですか、・・・破壊力がありそうですね。」

「そうね。簡単にグラビティーテリトリー(ディストーションフィールドの約10倍のフィールド)を貫通するし、最大出力で撃ったら、着弾点から半径5km以内の物、全て消滅する。だから味方が近くに居る時は、取り扱いに注意した方がいいわよ。」

「わ、わかりました。」

「あと左腕の盾はグラビティーシールド、機動要塞の惑星破壊砲を弾くだけの強度と裏側に接近戦用の武器が搭載してある。」

「・・・惑星破壊って・・・機動要塞と戦うつもり無いです。」
説明を聞いてあきれるカイト

「まだまだこれからよ」

「まだ何かあるんですか?」

「この機体、損傷してもすぐ直るから」

「え、どうしてですか?」

「この機体、ナノマシンの集合体なの、だからエネルギーさえあれば、自己修復することが出来るの、腕一本無くなっても生えるわよ」

「生える?トカゲのシッポですか?・・・なんか怖いです。」

「そうかな?後、推進ユニットとしてエーテルドライブを搭載しているから」

「エーテルドライブ?何ですかそれ?」

「これよ」
室内がさらに明るくなり光の正体に驚くカイト、デウス・エクス・マキナの背中に光り輝く12枚の翼が現れる。

「・・・・・・・・翼?」

「ただの翼じゃないエーテルを半物質化し放出推進するの、最速で光速の98%まで加速できるわ」

「・・・・・・・亜光速ですか・・・・それにしてもエネルギー消費が激しそうな機体ですね。相転移エンジン搭載しても出力不足なんじゃないんですか?」

「そうなのよ、相転移エンジンだと出力不足だし地上戦に不向きでしょうだから縮退炉、積んじゃった〜♪サブだけどね

「何か言いましたか?」

「何も、気のせいよ」

「しかし、縮退炉ですか、危険じゃないですか?」

「大丈夫よ、何重にもプロテクトしてあるし、撃墜されなきゃね〜♪」

「・・・・・・・・よく議会が縮退炉の使用許可出しましたね。」

「・・・」

「・・・?」

「・・・」

「・・・まさか許可取って無いんですか?」
見詰め合う二人

「は、はは〜〜〜〜〜 ま、まあいいじゃない、それより早く行った方がいいわよ何か向う物騒な事になっているから」

「誤魔化さないで下さい。・・・・・・それで何かあったんですか?」

「向うに探査ユニット送ったのよ、そしたら大規模な戦闘が起きているみたい、これ映像」
目の前にウィンドウが現れ映像が流れる。

「・・・・・・・・・・・なかなかやるね、あの機動兵器」
映像には、漆黒の機動兵器が雨のような銃撃の中を突き進んでいる。そして1隻の戦艦が戦闘宙域を離脱していく。

(・・・あ・・・あのマーク、ナデシコ?もしかして新型のナデシコか?まさかルリちゃんが乗っているのか?)
「これ何時の映像ですか?」

「1週間前」

「早く帰らなきゃ」

「その方がいいわね、後の説明は、彼女に聞いて」

「彼女?」

カイトの前にウィンドウが現れそして
「初めまして、マスター、今回もよろしくお願いします。」

「え・・・ルリちゃん?」

「いいえ、私はルリ様ではありません、ルナと申します。」

「ルナ?・・・・・・・・は、博士これは一体」

「彼女はデウス・エクス・マキナの支援AIルナ、仲良くしてね。」

「どうして、彼女と同じ姿なんですか?それに彼女の姿をどうして知っているんですか?まあ目の色は違いますけど」
チラッとルナを見る。ルナの姿は火星で別れた時のルリと同じ姿、ただ瞳の色が金色ではなく、真紅のような赤い瞳

「帰って来た時に検査したじゃない、その時に記憶をちょっとね」

「見たんですか?見たんですね」
博士に詰め寄るカイト

「ほんの少しよ、ルナの姿は、あなたが1番大切にしている人の姿にしたの、気に入ってくれると思ったんだけど・・・・・・気に入らない?」

「・・・そんな事は無いですけど」
困った顔でルナを見る

「マスター、私のこと嫌いですか?」
涙目になりながら両手を祈るように組んで訴えるルナ

「え・・・・・・いや、その、だから、・・・・・・・・・・・嫌いじゃ無いよ」

「本当ですか?」

「本当」

「うれしいです。マスター」
満面の笑みでカイトの周りを飛び回るルナのウィンドウ

「はいはい、仲良くなったことだし、そろそろ行ったら」

「そうですね」
デウス・エクス・マキナに乗り込むカイト

「操作方法は、エステバリスと同じか?」

「イエス、マスター」

シートに座り、コンソールに両手を置く、IFSが光だし、起動する

(確かに専用機だなこれパイロットとオペレーター用のIFSが無いと起動しないし操作も出来ないよこれ)
そう考えながら自分の両手を見る。右手にパイロット用、左手にオペレーター用のIFSがある。

「そう言えば、ルナ、会うの初めてだよね?」

「はい、そうですけど、なにか?」

「いや、会った時、『今回も』って言ったから」

「え・・・・・・・そんな事、言いましたか?」

「言ったと思ったけど」

「記憶に無いですけど」

「それじゃ、・・・・・・・・・・・気のせいかな?」

「気のせいですよ、マスター」
ルナの回答に首を傾げるカイト、考えていると通信が入りウィンドウが開く

「起動できたようね、それじゃ、会いたい人のことイメージしなさい。直接そこに送って上げるから」

「そんなこと出来るんですか?」

「ええ、昔は場所だけだったけど、今は人物を目標にして移動できるようになったの」

「そうなんですか、分かりました、イメージします。」
目を瞑りイメージするカイト

(イメージ、イメージ・・・・・・あれ?・・・まてよ)

「どうしたの?早くイメージしなさい」

「あの〜イメージしたんですけど、3年前の彼女のイメージで大丈夫ですか?」

「ダメよ、それだと過去に跳んでしまう、今の彼女をイメージしなさい」

「無理です。3年も経てば彼女だって成長して姿だって変わっています。」

「・・・・・・・・仕様が無いこっちで調整して上げる、ただ少し位置がずれるわよ」

「どれ位ですか?」

「数十kmぐらい」

「・・・分かりました。あとは自分で探します。それでお願いします。」

「なら始めるわよ。」

「はい」
また目を瞑りイメージするカイト

(イメージ、イメージ・・・・銀色の髪、白い肌、そして金色の瞳)
ボソンの光がデウス・エクス・マキナの周りに現れる

「いいわよ、そのままイメージして」

(僕を呼ぶ彼女の声、そして柔らかい彼女の唇、・・・・・・・・・おい、なに考えてんだ俺)
光の塊となるデウス・エクス・マキナ

「座標固定よし、さあ行きなさい。」

「・・・行って来ます。・・・ジャンプ」

一瞬の閃光と共に消えるデウス・エクス・マキナ、そして一人残る博士

「行ったか、さて今回はどんな結末になるやら、・・・・・・それじゃ行きますか」
博士の足元に現れる幾何学模様まるで魔法陣の様だ、そして模様が光だし、光の柱となり徐々に消える。そして誰も居ない白い空間のみが残る。






後書き
三千世界:「どうも、こんにちは、今回の作品どうだったでしょうか?
    何回も書いたり、消したりした為、段々訳が分からなくなりましたが
    何とか出来上がりました。楽しんでもらえたら幸いです。
    それはそうとカイト君、頬に手形が付いているけど、どうしたの?」

カイト:「あなたが前の後書きであんな事言うからルリちゃんに・・・」

三千世界:「叩かれたと、あんな事ってなに?」

カイト:「僕と博士の関係ですよ」

三千世界:「・・・ああ、秘密の関係ってやつ」

???:「なになに秘密の関係って?」

カイト:「ーーーは、博士?」
後から抱きつかれて驚くカイト

博士:「何もそこまで驚かなくてもいいじゃない」

カイト:「気配を消して抱きつかれたら誰だって驚きます。」

三千世界:「博士、後書きには呼んでいない筈ですけど」

博士:「いいじゃない。私の出番あと最後の方だけなんだから大目に見なさい。」

三千世界:「・・・なるほど、でも今度からは事前に連絡してください。ケーキ2人分しか用意してません」

博士:「2人分?・・・あれルリちゃんは?」

カイト:「怒って部屋から出てきません」

博士:「怒らせることでもしたの?カイト」

カイト:「僕じゃなく。三千世界さんです。」

三千世界:「そんな、誤解したルリちゃんが悪いんです。」

博士:「まあまあ、いいじゃない。お腹が空いたら出てくるわよ。それより食べましょう。私はカイトの半分貰うから」

三千世界:「そうですね、食べましょう。」

カイト:「いいのかな?」

博士:「いいの、いいの、・・・ア〜ン」

カイト:「えっ?」

博士:「私の分のフォーク無いんだから、食べさせてよ。ア〜ン」

カイト:「はぁ〜・・・・・・はいはい」

博士:「もぐもぐ・・・美味しいはこのケーキ」

三千世界:「そうでしょう。某デパ地下の限定販売のケーキですから」

カイト:「そんなに美味しいんですか?それじゃ僕も」

博士:「ちょっと待った!!」
カイトのフォークを奪い取る博士

カイト:「何するんですか!?」

博士:「私が食べさせてあげる♪」

カイト:「いいです。自分で食べます。」

博士:「いいから、いいから、はい、ア〜ン」
ケーキをカイトの口に持っていく

カイト:「・・・・・・・・・・・もぐもぐ」

博士:「美味しい?」

カイト:「美味しいです。」

三千世界:「もぐもぐ」(何をやっているんだこの親子・・・・・ん、何だこの殺気、後か)
ゆっくり振り返ると其処には、電柱の影に隠れている。ルリ
慌てて前を向くと博士に食べさせて貰っている。カイト
そして、こっちを見て微笑む。博士
(まずい、まずいよカイト君、それに博士、あなたルリちゃんが居ることに気づいていましたね。)
そんな事を考えていると、フッと刺す様な殺気が消える。

三千世界:(あれ・・・・帰ったのかな?)

カイト:「どうしたんですか、三千世界さん、そんなに汗かいて」

三千世界:「えっ?・・・気づかなかったの?」

カイト:「なんのこ・・・・・・」
突然固まるカイト、肩には白い手が置かれている。
そして、ゆっくり振り返るカイト

三千世界:(ルリちゃんどうやってカイト君の後に移動したの?)

ルリ:「カイトさん、楽しそうですね」

カイト:「ル、ルリちゃん」

ルリ:「隣の女性、誰ですか?とても親しそうですね。」

カイト:「この人は、・・・・・・・母親なんだ」

ルリ:「そんな嘘信じると思うんですか」

カイト:「嘘じゃない本人に聞いて・・・って居ないし、それじゃ三千世界さんに・・・って居ないよーーーー」

ルリ:「 カ イ ト さ ん 」

カイト:「本当なんだよ信じて」

ルリ:「カイトさんの浮気者!!!」
ルリのビンタがカイトの頬にクリティカルヒット、吹っ飛んで壁にめり込むカイト、さらにルリの必殺コンボが炸裂する。





すこし離れた場所

三千世界:「いや〜もう少しで巻き込まれるところでした。」

博士:「なかなか、ルリちゃんて嫉妬深い子ね」

三千世界:「貴方のせいですよ」

博士:「いいのよ、それより次回作を紹介したら」

三千世界:「そうですね。次回作はナデシコCと火星の後継者との戦闘になります。ルリちゃんのピンチにカイト君は間に合うのでしょうか?」

博士:「間に合うも何も、あれでカイト君、生きてるの?」

三千世界:「え?・・・・・あ」
カイトとルリの居た辺りから血煙が上がっている。

三千世界:「た、た、た、多分大丈夫です。」

博士:「・・・・・後で救急車呼んであげよ」

三千世界、博士:「「それでは、皆さん、さようなら」」





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