機動戦艦ナデシコ
The too different world
日本は熱狂していた。
小さな子供からよぼよぼの老人男女を問わず日本に住む人間は熱狂していた。
野球に。
蜥蜴戦争のあと荒廃した日本で人々を熱狂させているのはプロ野球であった。資本力、人気、実力NO1のクリムゾン傘下の読売巨人軍。(なんでクリムゾン傘下なのに読売とは聞かないで)。いまや巨人軍が優勝しないのは詐欺とまでよばれるぐらいの時代になっている。
しかしココにその超巨大軍団に立ち向かう戦士の集団がいた。それがネルガル傘下の阪神タイガースである。
いまや巨人軍の独占になってりるプロ野球界をひっくり返そうとハラ黒会長が取った手とは!
蜥蜴戦争で英雄となったナデシコクルーを全員球団に入れたのであった。
当初は評論家たちはこぞってこの体制を非難したがペナントが始まってみると常勝常勝で最終戦を目の前に巨人となんだかんだで同率一位だあった。しかも最終戦の相手は巨人。そして
その試合の幕がきって落
とされようとしていた。
甲子園内のミーティングルーム
「ついにこの日が来たか...」
呟くのはタイガースのエースカザマ.カイト。
「そうだな。けど俺たちがココまでやれるとは全く思ってなかったよ」カイトの呟きに答えるのは女房役のテンカワ・カイト。
「確かに。今まで僕たち野球なんて遊びでやった程度でしたからね」
「カイトは記憶をなくしているからもしかしたら昔やっていたかもな」
「そうですよね。会長も無理言いますよね、記憶喪失の僕にプロで野球をやれなんて」
二人の間に自然な笑いが生まれる。こういった込み入った話が出来るほどの信頼感がある二人なのでバッテリーとしての相性は抜群だ。
ドアが開く音がした。
「監督が来たみたいだな」
アキトはそういうと椅子に座りなおした。
「それではミーティングを始めます」
そう言い放ったのは知将ホシノ・ルリ監督その人であった。
「今日は優勝を決める最終戦です。もちろん私たちは勝ちます。それでは今日の先発オーダーを発表します。1番セカンド、タカスギ・サブロウタ。2番センター、スバル・リョウコ。3番サード、ウリバタケ・セイヤ。4番ファースト、ゴート・ホーリ。5番ライト、アカツキ・ナガレ。6番レフト、アキヤマ・ゲンパチロウ。7番ショート、アオイ・ジュン。8番キャッチャー、テンカワ.アキト」
そこで一旦ルリは言葉を切る。そしてカイトの方の見て言った。
「9番ピッチャー、カザマ・カイト。以上です。各自戦闘(?)準備に入ってください」
ヨッシャーとチームが気合を入れる中、ルリがカイトの近くに歩み寄る。
「カイトさんちょっとお話が・・・」
アキトとブルペンに行こうとしていたカイトが振り返る。
「別にいいけど」
「じゃぁ、俺は先に行ってる」
気を利かせてかアキトは一人でブルペンに向かった。
それを見送ったルリはカイトの腕を引っ張って人の気配のないところまで歩いていった。
「で、話しとはルリちゃん」
「監督です。ケド2人ですからいいですけど」
頬を朱色
に染める。
「それでなんですけど中3日でいけるんですか?」
「大丈夫だよ。どれにほかの先発で怪我していないのハーリー君だけじゃん。ハーリー君が投げたの昨日だし俺がいくしかないでしょ。それに俺が優勝投手ってのもいいしね。きっと女子アナに囲まれまくり、イテテテ」
「そんな目的だったんですか?」
ジト目でカイトを睨みつける。
「まぁそれは冗談として」
「冗談に聞こえなかったんですけど」
「うっ。本当のところは秘密という事で。おぉブルペンに行かなくてはそれでは行ってまいります監督」
ダッダッダッダッダッダッ走ってカイトはブルペンへと消えていった。
「カイトさん・・・女子アナに手を出したら分かってますね」
誰に言うでもなく呟いた。
放送席
『さて全国の野球ファンの皆さんこんばんわセリーグの王者を決めるこの一戦、解説はカトリーヌ・ケドモッソ・フィブリンソン二世略してカケフさんと先が見える解説者ことニュータイプエガワさん。実況はクリーンヒットフクザワでお送りします。』
『よろしくお願いします』
『さぁ、この世紀の一戦。御二方はどちらが勝つと予想しますか?』
『う〜ん、どうでしょう、阪神に優勝していて欲しいですけどこの戦力を見ますとやや巨人に分があると思いますね、ハイ』
『僕もそう思いますね、戦力がけが人で構成されている阪神に対して昨日は4番を抜かして全員二軍で構成して挑んで余力のある巨人が優勢ですね』
『おおっと、これは手厳しい。さぁ試合までわずかです。それまではVTRの・・・・』
ブルペン
ズパァーン!
「よっしゃ!最高の球だぜ」
自分の球に惚れ惚れするカイト。
「まだだよ。もう20球追加だよ」
カイトの球に不満があるアキトは投げ込みを追加する。
「えー。こんないい球ないよ。滅多に」
ぶつぶつ言いながらも今までずっとカイトの球を見てきたアキトの言う事には素直に従う。
「なぁ、カイト」
ズパッーン!
「何ですかアキトさん?」
アキトから球が返される。
「俺この試合に勝ったらユリカに結婚もう込もうと思うんだけど・・・。どう思う?」
今アキトの恋人であるユリカは軍のほうで和平会議の準備に追われていた。軍に使える人材がないために軍で忙しく働いていた。
「感心できませんね、そういうのは」
「えっ!」
てっきり自分の後を押してくれると思っていたアキトは驚く。
「結婚を野球の結果になんかゆだねたら可哀想ですよユリカさんが。それにそんなもんなんですか?アキトさんにとってのユリカさんは?」
ズパァーン!
「そうだよな・・・。おかしいな、俺って」
ズパァーン!
「よし今日試合が勝っても負けてもユリカに結婚を申し込む。ユリカが必要だから」
「アキトさん・・・。そんな恥ずかしいこと言わないでくださいよ」
「そっ、そうか」
「でもいいですよね、アキトさんはこのペナントが終わったあとの自分の夢があって」
ズバァン!
「カイトはないのか?自分の夢って奴」
「う〜ん、とくにないんだけどねぁ。軍にでも入ろうと思う」
「ふーん、ルリちゃんはどうするの?」
ぱすん。
「ど、どっ、どうするっていっても別にルリちゃんとは何もないわけだし」
オチャラけた態度が消えて慌てふためくカイト。
「ムッ、何ニヤニヤしてるんです!」
「いや、カイトがね・・・ふーん」
「ウガァァァァァァ」
ズッドーン!!
今までのミットにボールが叩き込まれる音を凌駕する爆音が響く!
「よし!完璧だな。いこうぜ」
「よっしゃ、絶対勝つ!」
そのときカイトの背中にめらめらと炎が沸き立っていた。
『さぁ、両者の応援団の応援合戦終了しこれから阪神の死神ピッチャーことカザマ・カイト選手が投球練習に入ります。どうですか、エガワさん今日のカザマ投手の調子は?』
『中3日ですよね。その割には球も走っていますがこればかりは試合が始まってみないと分かりませんね』
『ありがとうございます。投球練習が終わったみたいですね。さぁ、この世紀の一戦どちらに軍パイがあがるのでしょうか?』
「プレイボール!」
主審の声が高らかに上がった。
巨人軍の1番はレフトのキヨミズ・タカユキ。これに対してのアキトの要求した最初のボールは・・・。
(外角一杯のストレートね。OK)
カイトが振りかぶって第1球を投げた!
「ボール!」
内角一杯に来た160キロのストレートを倒れこみながらよけるキヨミズ。
一応謝るふりをするカイト。
アキトからの返球を受け取る。
(次は・・・もう1球外角のストレートね)
カイトが振りかぶって第2球を投げた。
ガシャーン。
ボールは審判の頭の上を越えてバックフェンスに当たった。けしてキヨミズがバットを振ってファールにしたのではない。ただのくそボールだ。
(むぅ、今日はちょっとだけコントロールが悪いな)
カイトは思った。
(いつもの通りコントロールはないな)
ほかの人はみんな思った。
第3球ベース手前でワンバウンド。判定はもちろんボール。
第4球。審判の判定を待たないでも分かるくそボール。
『先頭打者フォアボール!いつものことながらコントロールがありません。大丈夫なんでしょうか?』
『球威はありますかね・・・』
2番はショート、オカジ・トモヒロ。先頭打者が出塁したのでセオリー道理バントの構え。セットポジションからの投球で多少の制球が期待されるカイト。厳しい牽制を絡めた後の第1球。カイトは振りかぶって投げた。
ドン!
変な音が響く。ボールがミットに入る音ではない。人体に硬い硬いものが当たる音がする。
「デットボール!」
(ちっ、あれぐらいよけろよ。へたれが!)
心では相手に対して毒を吐いているが表面では真摯な態度でオカジに謝る。普通だったら乱闘ものだがココは女房役のアキトがオカジをとりなしたおかげで事無きをえた。
ノーアウト2塁1塁。このピンチでバッターボックスには3番ライトのウルフ・ヤクルト。モテモテ色男だ。これまでの対戦成績はウルフが19打数の5安打。ややカイトに分がある。ウルフはカイトを純粋に野球のライバルと見ていた。カイトの方はというと・・・。
(畜生!女に人気があるなんて大魔神社(とっくに撤去済み)の神官(たぶんそんなのはいない)の名に懸けててめーを叩き潰す!)
このように私怨(やっかみ)でウルフを敵視していた。
余談だが何故カイトが女性野球ファ
ンに人気がないかというと週刊誌になぜか内部事情に詳しい某女性監督からカイトの奇行(カイトは誤解というが事実ではある)がリークされているからだ。
ウルフがバッターボックスに立ち構える。
アキトからカイトにサインが出される。
(インコースね・・・ビビラセロってことだな。いくぜ!)
(うーん今日のカイト逆球ばっかりだからこれで外に来ればいいなぁ)
アキトの思惑は通じるのか?ヴュッン!
ボールはウルフの近くぎりぎりを通ってアキトのミットに入った。つまり
「ボール」
ガクッと肩を落とすアキト。
(ひどい。いつもながらコントロールがひどすぎる)
その後はたまたまか偶然か1球ストライクが入ったがそのままファアボール。
これでノーアウト満塁。かなりのピンチだ。そのピンチを一人で演出したカイトを見てみると・・・。
「うーん、・・・・・をどうやって・・・・・・」
一応自分の招いたピンチに責任をかんじている様だ。これを見た内野陣ががものすごい顔をして走りよってきた。
「カ、カイト!なんか悪いものでも食ったのか。お前がコントロ
ール悪いのをなんて」
「へっ、別に気にしてないよぶつけたのなんて避けられないほうが悪いし」
少しは気にしろよと聞いた奴らは思った。
「じゃ何悩んでいたんだ?」
グラブで口を隠して内緒話をしているふりをする。話している内容が情けないから。
「そ、それは・・・この後の試練に気合と入れるために」
なぜか顔を真っ赤にして呟くカイト。
「この場で気合を入れないでどうするんだよ。バカ」
グラブでカイトを小突きながらハッパをかける。
「そうだバカ」
「バカ」
「バカ」
「バカ」
「バカ」
「バカ」
「バカ」
「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」
「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」「バカ」
集まった内野陣がカイトを次々なじる。
ブッチーン!
「みとけ!次の打者を三振にしてやる!」
その言葉を聞いて内野陣は自分の守備位置に戻っていく。
『さぁいつもの道理初回ノーアウト満塁。これは作戦なんでしょうか、掛布さん?』
『いえ、次のバッターを考えるとそれはないでしょう』
妖気が漂っていた。ネクストバッターズサークルから。
コーホー。シュゴー。コーホー。シュゴー。コーホー。妖気を抑えるために装着した鉄仮面から荒い呼吸が漏れる。
4番バッターはセンター
メカマツイ。
メカマツイはクリムゾンの研究所が科学と錬金術とついでに魔術の粋をを集めて作り出した超野球エリートである。身長2メートル20センチ。体重140キロ。骨格はテトラカーボン製。筋肉は獣の筋肉をまねた人工筋肉繊維。全身の肌には東西南北の魔術の文様が掘られている
何故そんな野球エリート改め野球悪魔超人がプロの試合に出れるのか?
まぁいいかな。
とだれかがいったkらいいの