真夏の夜の暑さも幾分か和らぎ
柔らかな風が頬をなでる
夏にしては驚くほど爽やかな風を感じながら
僕は閉じていた目蓋をそっと開いた
開いた瞳には
深い深い月の蒼と
流れるように艶やかな紫が
鮮やかに写し出された
月の蒼を一杯に受けとめた艶やかな紫は
まるでこの世のものではない様に光り輝く
それは本当に
本当に綺麗だった
「第2話・前編」
<PM5:04>
僕は頭を抱えていた。
理由は簡単、目の前の光景にどう収拾したらいいのか正直にわからないからである。
「だから何度言ったらわかるのよっ!!!お好み焼きは大阪風に決まってるでしょっ!!!」
「ふざけたこと言ってんじゃねぇ!!!お好み焼きは広島風って昔から決まってんだよっ!!!」
鉄板焼きの屋台の前で、力一杯お好み焼きについて議論している男女二人と……
「親父、たこ焼きと豚平焼きとねぎ焼きを3ずつ追加だ」
ただひたすらに信じられない量の料理をを平然とたいらげている女の子が二人……
この一行を取り囲むように人垣が円を描き、やんややんやと口論している二人に声援を送っている。
これじゃあ野球観戦の観客だとは思い、純粋に泣きたくなった。
「美月ちゃんも神無君も喧嘩はやめて!」
あまり効果は期待できないと薄々思いながらも淡い期待を込めて言ってみた。
「カイト兄様は黙ってて!!!ここで引き下がるわけにはいかないのよ!!!」
金髪の長い髪の毛が綺麗な、一見するとどこかのお姫様の様な女の子は美月。
綺麗な目をぎらぎらとさせて熱き闘いを続ける気漫々のようだ。
「カイト兄は黙ってろい!!!ここで引いたら男がすたるってもんだ!!!」
見上げるような長身の、褐色に日焼けしたがっしりとした体格の男の子が神無。
こちらも続ける気漫々のようだ。
「親父、たこ焼きと野菜焼きといか焼きとねぎま、4ずつだ」
「朧ちゃんもどさくさに紛れて料理を追加しないで!!琴月ちゃんもそんな目で見ないで!!」
屋台の親父さんに料理を追加しようとしていたのは、黒い髪の毛を肩口で切りそろえ、藍色の着物を粋に着こなしている純和風な女の子の朧。
料理の追加を止められて、まるで小動物のようにうるうるとした眼差しを向けてくるのは琴月、4人の中で一番背が低い女の子だ。
「あんなただ押し潰しただけみたいなものをお好み焼きとは言わないのよ!!!」
「あんな中身がすかすかのものをお好み焼きとは死んでも呼びたくねえなっ!!!」
そうしている間もお好み焼きをめぐる熱闘は止むことなく続いている。
「もうリハーサルが始まってるんだ、あの二人なんとかならないかな?」
なんとか打開策を求めて朧に尋ねてみる。
「ああなってしまってはどうしようもない、諦めろ」
追加を止められたのを根に持っているらしく、残ったいか焼きを頬張りながら不機嫌そうに答える朧。
「あのふんわり感を理解出来ないなんてやっぱり頭の中まで筋肉でできてるんじゃないの?神無!!!」
「お好み焼きはあのボリューム感があって初めてお好み焼きと言えるんだ!!!わかんねえおまえがどうかしてるんだよ、美月!!!」
熱き闘いが益々燃えさかっている最中、ふとあることに気がついた。
もう一人、あの人がいない。
「ミカさんは?」
この事態を収拾できるであろう最後の希望を求めて、尋ねた。
『ミカ姉さんはドネルケバブの屋台をみつけたから、とりあえず制圧してくると言ってどこかへ行ってしまいました』
と書かれたスケッチブックを抱えている琴月。
どうやら最後の希望は閉ざされてしまったらしい。
しかしさっきまであんなスケッチブックは持っていなかった。
一体どこから、いつの間に文字を書いたのかを疑問に思うと……
『乙女の秘密です』
……らしい。
「あぁ、もう!!あんたじゃ話になんないわ!!!」
「てめえなんかじゃ話になんねえ!!!」
そうこうしている間に、どうにか闘いは終結に向かっているようだと安心した矢先……
こちらを二人が同時に振り向く。
その瞬間、背筋にウリバタケさんの実験で散々味わったあの何とも言えない、強いて言うなら『苦み』のような感触が溢れ出す。
「「カイト(兄・兄様)!!!どっち!!!」」
さっきまであれほど言い争っていたのに、完璧なユニゾンを見せつけこちらに迫ってくる二人。
その目が語る、答えなければどうなるかを。
…………ヤバイ。
この状況下で考え得る選択肢は四つ。
1・大阪風と答える
2・広島風と答える
3・朧と琴月に助けを求める
4・逃げる
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出来うることなら是非とも4を選びたい、しかしそれではリハーサルの為にこの4人を探していた意味がない。
3はもうすでに実行していたりする。
しかし朧はまだ先ほどの料理の追加を根に持っているらしく、あさっての方を向いて最後のとん平焼きをちびちびと食べている。
琴月は『ごめんなさい』と書かれたスケッチブックを本当に申し訳なさそうに掲げている。
残る選択肢は1と2……
1は……あまりひどいことはされない気がするけど、後でアサミちゃんに怒られそうな気がする。
2は……オクトパスホールド改め卍固めに始まり、リキラリアットで転がし、ナガタロックTで締め上げ、アルゼンチンバックブリーガーでトドメをさされることぐらいはまず間違いないだろう。余談だが、アルゼンチンバックブリーガーでトドメをさすと決め技がアルゼンチン式背骨折りになることは微妙に有名である。
こうして考えている間にも事態は着々と、確実に悪化していっているのは間違いない。
さて、どうしたものか。
「おまえら、なにしてる」
とその時、やっと僕の探し人が大量のドネルケバブ片手にひょっこりと姿を現した。
長い艶やかなまるで絹糸のような黒い髪、黒曜石を思わせる深い深い輝きを持つ黒い瞳、女性にしては長身で、全身を黒で固めた誰もが魅了される絶世の美女。
「探しましたよ、ミカさん。もうリハーサル始まってますよ。どこ行ってたんですか?」
僕はため息をつきながら尋ねる。
「ドネルケバブだ」
手に持った大量のドネルケバブを制圧しながらそう呟くミカさん。
「仮にも会社の社長の人が珍しい屋台ぐらいででリハーサルをすっぽかさないでください!!!」
そう、この人は『アサミ・ミドリヤマ』や美月、神無、朧、琴月の四人のアイドルグループ『ジュピターズ』等が所属する『プロダクション・ラ・グルン』の社長だったりするのだ。
「屋台だぞ!肉料理だぞ!!中近東だぞ!!!これを見つけて制圧しない手はないだろう」
さも心外といった様子で反論してくるミカさん、その間もやはりドネルケバブを制圧し続けている。
「鍋魔人の貴様が言っても説得力がない」
朧が冷静に、なおかつ的確にツッコミを入れる。全自動ツッコミマシーンの称号は伊達ではないようだ。
『朝も昼も夜も三時のおやつもいっつもお鍋です』
琴月も非難じみた視線をミカさんに送っている。
「何でも鍋に入れちまうしな」
神無は嫌なことを思い出したような表情で続く。
「さすがにあの闇鍋は思い出したくもないわ」
美月もげんなりとした様子で呟く。
……何入れたんだろう?
「五月蠅い、嫌なら喰うな。それよりさっさとリハーサルに行ってこい」
ミカさんは全く気にした様子もなく、片手でしっしっとやりながらそう言い放つ。
「ミカさんも出なきゃなんないでしょ!!!」
そう、至極当たり前のことを力一杯僕は叫んだ。
「食い終わったらな」
そう言い放ち半分ほどに減ったドネルケバブをまた制圧し始めるミカさん。
「はぁ〜」
深いため息は賑わい始めた祭りのざわめきと、夕焼けに染まった空に虚しく響いていった。
<PM6:32>
「そう言うことだったんですか」
艶やかな紫の髪の毛を揺らしながらくすくすと笑い僕に話しかけているのは人気アイドル『アサミ・ミドリヤマ』。僕がメグミさんのマネージャーの仕事をしていた一年ほど前に、ある事件をきっかけに知り合い、その後も親しくつき合いが続いている。
「笑い事じゃないよ、やっとの思いであの五人をリハーサル会場に連れてきたのにウリバタケさんには遅いって怒鳴られるし、メグミちゃんには『随分余裕なんですね、新人さんなのに』なんて嫌みを何故か僕に言われるし。」
『ジュピターズ』は最近デビューしたばかりのアイドルグループ?だから早めに会場入りし、先輩方に挨拶をするのが当たり前なのだが、そんな常識的な事をあの四人とミカさんに求めるのはかなりの勇気を必要とする。
「あの子達とミカさんは、なんて言うかもの凄くマイペースな人ですから」
アサミちゃんは少し困った様子ではにかみながら返す。
あの四人はミカさんがプロダクションの株を全て買い取り、社長となった後、全国的なオーディションを行った結果選ばれた。
追記として、そのミカさんが行ったオーディションはもの凄く趣味的だったそうだ。
アイドルのオーディションなのに歌唱力審査がなかったり、なぜか大食いが審査にあったり、ミカさんしか審査員がいなかったり、到底アイドルのオーディションとは言えなかったそうだ。
「やっぱり私もお祭りに行ってみるべきだったかなぁ?」
アサミちゃんはしみじみと呟く。
「どうして?やっぱり仕事が忙しいの?」
「そうなんです、明日からずっとお仕事が入っていてお祭り行けそうにないんです。」
アサミちゃんは悔しそうに答える。
「二人で行きたかったんですけどね」
アサミちゃんは小声で呟いたのだが、しっかりと聞こえてしまった。
聞こえてしまった以上は何とかするしかない。
「二人でミカさんに頼んでみよう、もしかしたらお休みくれるかもしれないし」
僕は努めて明るく提案してみた。
「本当ですか!!」
アサミちゃんの表情がぱあっと明るくなった。
「もし、お休みが取れたら、一緒にお祭りに行こう」
「はい!!」
元気よく返事をするアサミちゃんを見て、やっぱりアサミちゃんには笑っている方がよく似合うと心からそう思った。
「そういえば、結局『X』ってやっぱりあの人なの?」
僕はかねてからの疑問を聞いてみることにした。
今日のコンサートに出演するのは全部で五組のアイドル。
『メグミハラ・レイナ(メグミ・レイナード)』・『J−MESH REVOLUTIONS(ホウメイガールズ)』・『ジュピターズ』・『アサミ・ミドリヤマ』・そして謎の人物『X』である。
「やっぱりあの人でしょうね、こういうのあの人大好きですから」
「やっぱり?」
そう、僕らはその謎の人物『X』に関して心当たりが有りすぎる、ていうかもう確定事項ですらある。
なんせアサミちゃんを出演させる条件として『X』の出演を認めさせたんだから。
そんな風に本番前の楽屋でアサミちゃんと談笑していると、急にアサミちゃんがもじもじして、ステージ衣装の胸の蒼いブローチを指先で弄び始めた。
「どうしたの?」
疑問に思い、尋ねてみる。
「あの、カイトさん。私たちこうして会うのって三カ月ぶりですよね」
僅かに頬を朱に染め、相変わらずもじもじとしている様子はもの凄く可愛かったりする。
確かにこうして会うのは僕がナデシコBで木星に行く前の時以来だから、ちょうどそのくらいだ。
「今、ふたりッきりですよね」
……ようやくアサミちゃんの言葉が何を意味しているのかがわかった。
つまり今目の前にいるのは人気アイドルではなく、一人の恋する乙女というわけだ。
そう思うと急速に顔が火照っていくのが自分でもわかる。
沈黙が室内を支配する。
しかしそれは決して居心地が悪いものではなかった。
「っ!!」
椅子に座っているアサミちゃんのほっそりとした手に自分の手を重ねる。
「カイト……さん」
頬を鮮やかな朱に染め、潤んだ瞳で僕を見上げるアサミちゃん。
淡いメイクが施された顔がだんだんと近づいていき、そして……
「アサミさん、スタンバイお願いします!」
そこはやっぱりお約束。
突然の介入者により二人はぱっとすぐに離れたとさ。
ちゃんちゃん♪にゃ♪
<PM7:02>
「それではただいまより、トップアイドル夏祭り特別コンサートを始めます!!!」
ステージでそうジュンさんが宣言すると同時に仕込まれていた花火がばんという音と同時に爆発する。
火薬の量が明らかに多いのはやはりステージ全てがウリバタケさん特製だからというのは間違いない。
この分だとステージに他にも何か仕込まれている気がするのはもはや心配ではなく確信だった。
ステージを彩るライトの中から歌姫達が姿を現し、観客の声援もさらに熱を帯びていく。
それは舞台袖の位置からでも充分に伝わってきた。
その歌姫達を紹介していくジュンさん。
この人選は以前、ナデシコA時代にアイドルコンテストの司会をしたことがあるという経験からだそうだ。だからなのか、なかなか様になっている。
ステージには『X』意外の出演するアイドル全員が揃っている。
これはまず一度全員で挨拶をし、その後一グループずつ歌を披露し、最後にまた全員で歌いフィナーレという演出のためである。
まずトップバッターは『ジュピターズ』。
歌う曲は「夏祭り」、これは200年以上昔のクラシックなのだがミカさんがどこからか探してきて歌うこととなった曲だ。なんでも「ホワイトベリー」というグループがリミックスしたバージョンとミカさんは言っていたが、どうにも200年以上昔の曲なのでよくわからない。
歌う曲以上に特徴的なのがメンバーの衣装だ。
毎回本番前にするトランプの順位で衣装を決めているらしい。
ちなみにこの変なシステムもミカさんの発案だったりする。
今回の衣装は、ギターの朧が屋台の時も着ていた藍色の着物、ドラムの神無が至って普通なジーンズと『筋肉』と力強い文字の入ったTシャツ、ここまでは普通。
ヴォーカルの美月はフリフリのいっぱい付いたピンク色のドレス、綺麗な金髪とあっていてとても可愛いのだが、本人はかなり恥ずかしそうにしている。
キーボードの琴月は毎回恒例となっている着ぐるみ、今回はピンク色の帽子と青い鼻のトナカイの着ぐるみのようだ。もこもこ感がとてもいい感じ。
トランプの順位は、説明するまでもないだろう。
曲が始まるとそれまで衣装を笑っていた観客も歓声をあげることとなる。
ヴォーカル美月のよく通る声、神無の力強いドラム、朧の見事なギター、琴月のもこもこ感、それらが合わさり見事な音楽を形成する。
こりゃあ、うかうかしているとメグミちゃんやホウメイガールズのみんなが追い抜かれそうだ。
その次は『J−MESH REVOLUTIONS』、そして『メグミハラ・レイナ』と続く。
そのどちらも僕がマネージャーをしていた時より確実にレベルアップしているのがわかる。
それが嬉しくもあり、寂しくもあった。
そして遂に『X』の出番となった。
<PM8:01>
『X』の正体はやはりというかなんというか、やっぱりあの人だった。
ステージ上でスポットライトを浴びるのは、長い艶やかなまるで絹糸のような黒い髪、黒曜石を思わせる深い深い輝きを持つ黒い瞳、女性にしては長身で、全身を黒で固めた誰もが魅了される絶世の美女。
そして、静かに歌い始める。
透きとおるような歌声が響き渡る。
観客の人々は歓声をあげることもせずに歌声に聞き惚れている。
「すごく綺麗な歌ですね」
声をかけられるまでアサミちゃんがすぐ近くに居ることに僕は気が付かなかった。
「うん、確か『月の繭』っていう曲だったよね?」
「ええ、そうです」
ミカさんが歌っているのはこれも200年以上昔の曲で、『カンノ・ヨーコ』という人の曲らしい。
ミカさんはこの人の曲をよく聴いていた、だから僕は何の曲かわかった。
「本当に、綺麗ですね」
アサミちゃんの呟きを聞きながら、僕は本当に綺麗だと思った。
初めて会った時から背も幾分か伸び、本当に女性らしく、綺麗になった。
「本当に……綺麗だ」
そう呟いた時、アサミちゃんが僕の方を向いてしまい、バッチリ目が合ってしまった。
「それって……」
そう呟くアサミちゃんの顔がみるみるうちに朱に染まっていく。
僕は照れくさくて、視線をそらす。
顔が火照っていくのが自分でもわかる。
「あの……カイトさん……?」
もじもじしながら僕に問いかけるその仕草は……破滅的に可愛かった。
「あの……勇気の出るおまじない……して……ください」
これ以上無いっていうほど頬を紅潮させてアサミちゃんは呟く。
勇気の出るおまじないっていうと一つしか思い浮かばない訳で、一年ほど前に僕がアサミちゃんにしたおまじないな訳で、ここは舞台袖なわけで、混乱してしまう。
しかし瞳を潤ませ、頬を紅潮させ上目遣いにそんなことを言われてしまったら断れるはずがない(断言)
アサミちゃんの澄んだ緑の瞳が閉じられ。
愛おしい顔に近づいていき……。
僕は『勇気の出るおまじない』をした。
<PM8:19>
アサミちゃんがステージに上がったその時、この熱き祭りの夜は激動を始めた。
<PM8:26>
がしゃん
そんな音がしたかと思うと、ステージだけでなくコンサート会場全てが夜の闇に包まれた。
ステージ上にはアサミちゃんが居る。
暗闇に目が慣れるのを待つよりも速く僕はステージに向かって駆けた。
その瞬間……
ゾクッ!!!
全身に駆け巡る悪寒、まとわりつくような殺気。
考えるより疾く、体は動いていた。
<PM8:29>
幸い会場はすぐに光を取り戻し、ステージ上も何事もなく、なんの支障もなくコンサートは再開された。
ステージのスポットライトも、観客の声援も、何もかも変わりないと思えた。
しかし私はその時まだ気が付いていなかった。
彼が、カイトさんがいないことに。
<PM8:30>
私はチッと舌打ちをしながら紫煙を燻らせる。
全くの無害なのだが、やはり煙草の紫煙というのはあまり良い印象を与えないらしい。
しかしそんな他人の気分程度の為に己の嗜好を止める気など私に毛頭有るはずがない。
肺に紫煙が充満し、思考がクリアになっていく。
先ほどの停電は事故などではあるまい。
おそらくは意図的なもの、それも明確な目的と緻密な計画があってのものだろう。
ネルガルのSSを相手に出し抜くなど、かなりの手練れでなければ出来ぬ事だ。
しかし、予想していたターゲットのアサミはステージ上にいる。
停電は祭り会場全域ではなく、このコンサート会場のみの局地的なものだった。
ということはターゲットはこのコンサート会場にいなければならぬ事になる。
…………あいつか。
「美月、朧、会場にいるスタッフの数を確認しろ。数人増えているはずだ」
「承知」
「わかったわ」
側に控えていた美月と朧はすぐに走り去っていく。
「神無、琴月、おまえ達はアサミの側に居ろ。怪しいと思った奴なら仕掛けてもかまわん」
「あいよ!」
『がんばります!』
神無と琴月も走り去っていく。
私は二本目の煙草に火をつけ、しばし紫煙を楽しむ。
「このくらいどうにか出来ぬのなら、所詮はその程度だったということだ」
誰にというわけでもなく呟き、私は気付いた。
自分が、笑っていることに。
〜後編へ〜
〜あとがきという名の言い訳〜
遅刻魔「まずは遅れに遅れた事をお詫びいたしますです」
???「一週間近くも遅れて、ぬけぬけとよく言えたもんだ」
ぎくぎくぎく!!!(滝汗)
恥知らず「次にいつのまにか前後編になっていたりする事をお詫びします」
???「遅れた上に前後編にするなど恥知らずにも程がある」
ごふっ!!!(大量吐血)
???「しかも初めの詩?の意味がわからん」
うぎゃぁぁ!!!(タンスの角と小指のデート)
???「さらにオリキャラ何人もを出すなど愚行としか言いようがないな」
がくっ!!!(ご臨終)
???「逝ったか……」
屍「星風如きのSSにお付き合い頂きまことに恐悦至極でございます。願わくば後編もお付き合い頂ければ幸いでございますにゃ」
???「しぶといな……パシッ!(指を鳴らす音)」
なんと!ちりんちりんというベルの音と共にどこからともなく『轟天号』が現れた!!!
阿呆「ぎにゃ〜〜〜!!!来にゃいで〜〜〜〜〜!!!!!!」
グチャ
なんと!『轟天号』は一仕事終えて何処かへ帰っていった!!!
ありがとう!みんなのヒ〜ロ〜『轟天号』!!!